研究課題
8q24転座を有する悪性リンパ腫の中には極めて予後不良な疾患群があり、申請者は発症機序解明のため症例から細胞株を樹立し8q24転座点がガン遺伝子MYCの下流にあるPVT1内に存在することを確かめた。PVT1はlong non-coding RNAであり、腫瘍化におけるPVT1の役割は不明である。本研究では悪性リンパ腫発症におけるPVT1領域の役割を明らかにし、新規治療へつなげることを目的としている。令和二年度は令和元年度の検討で、ブロモドメイン阻害薬JQ1により細胞増殖抑制効果がみられた際にMYC発現のみでなくPVT1 5'発現も低下していたことより、PVT1 5’発現抑制下での細胞増殖変化について検討を試みた。Antisense locked nucleic acidであるGapmeRをPVT1 5’領域に設計し、各細胞株にトランスフェクションした。PVT1 5’領域をターゲットにしたGapmeRによる細胞増殖抑制効果は示せなかった。PVT1 5’抑制効果が弱いことが一因と考えられ、現在抑制効果を高めるように実験条件を変更して再検討している。PVT1 5’領域に存在するmiR1204抑制効果も検討したが、細胞増殖抑制効果は示せていない。miR1204発現は低い細胞株が多く、逆にmiR1204補充効果の検討を計画している。一方、いくつかの細胞株においてPVT1プロモーター領域に塩基配列変異が検出された。多数例の患者検体でも変異が陽性であった。この変異はろ胞性リンパ腫患者において他の病型の悪性リンパ腫病型の患者より多かった。今後、PVT1プロモーター領域の変異の意義も検討したい。引き続き、悪性リンパ腫発症におけるPVT1領域の役割検討を継続する。
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