マウス末梢血および骨髄由来の単球を分離して解析を行った結果、Sema4Dが単球サブセットの分化制御に関与することが明らかとなった。Ly6C陽性単球からLy6C陰性単球への分化には転写因子のNR4A1が関与することが知られており、Sema4Dが抑制的に作用している可能性が示唆された。また救済実験において、外因性にSema4Dを加えたところ、血管内皮細胞への接着に必要とされるタンパク質の遺伝子発現が増加することが明らかとなった。このことから、Sema4Dは単球に接着因子の発現を誘導し、血管外でマクロファージ化させる可能性が示唆され、Sema4D欠失マウスでは、単球の血管外への遊走が抑制された結果Ly6C陰性単球の割合が増加していると推測された。 また、加齢とともに脾臓に鉄が蓄積しており、自己免疫疾患に伴って進行していることを確認した。鉄代謝ホルモンであるヘプシジンに変動はなく、赤血球寿命の短縮によるものでもなかった。In vivo、in vitroにおいて、脾臓マクロファージの老廃赤血球貪食能はSema4D欠失マウスで亢進しており、これが原因であると考えられた。そこで救済実験において、外因性にSema4Dを添加しても救済できなかったため、Sema4Dが直接的に老廃赤血球の貪食作用に影響していないことが判明した。次に老廃赤血球を貪食する赤脾髄マクロファージに着目し、フローサイトメータを用いて脾臓マクロファージに占める割合を検討したところ、Sema4D欠失マウスにおいて明らかに増加していた。以上のことから、欠失マウスにおいて、赤脾髄マクロファージの増加により赤血球の貪食が亢進したため、脾臓に鉄が蓄積したと考えられた。
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