研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病細胞株におけるDNA修復に関わるタンパク質の発現・局在解析を行った。具体的には、TP53変異型細胞株であるHL60(TP53Null), THP1(TP53変異陽性: c.520_545del26), KG1(TP53変異陽性: c.672+1G>A), TP53野生型細胞株であるOCI-AML3(NPM1変異陽性), MOLM13(FLT3-ITD変異片アレル陽性), MV4-11(FLT3-ITD変異両アレル陽性)を用いてDNA修復に関わるタンパク質の発現・局在を評価し、細胞質-核分画処理後の分画検体を用いたWestern Blot法による解析を行った。 現在までに、急性骨髄性白血病細胞株においてDNAのdouble strand breakを反映するγ-H2AXが核内で高発現していることが複数株で確認された。この事実は急性骨髄性白血病細胞においてDNA損傷が恒常的に生じていることを意味している。また、γ-H2AXが核内で高発現している細胞株ではBER修復を担うAPE1やPARP1、HR修復を担うBRCA1/2やRAD51の発現が亢進していることも同時に同定された。これらのDNA修復機構のメディエイターが細胞生存に重要な働きをしている可能性が高い。上記の成果など、これまでに計画書作成時の仮説を肯定する結果が得られており、今後の発展が期待できる。
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