研究実績の概要 |
●FLAGタグを挿入したマウスを用いて、APOBEC3タンパク質の組織内局在と機能解析 昨年まではRNAレベルでの脾細胞や骨髄細胞における局在を調べ、組織学的評価も行っていた。その結果の再現性を確認し、さらにGerminalCenterB細胞にどの程度局在しているのかを評価した。マウスAPOBEC3タンパク質は、フローサイトメトリー法や免疫組織化学を用いて、胚中心B細胞(GL-7+, CD95+, IgD-)で非常に高レベルで発現していることが分かった。さらに抗原刺激(羊赤血球)によって胚中心細胞の数が増加したにもかかわらず、細胞のAPOBEC3タンパク質の発現レベルに影響を与えなかった。免疫組織化学によっても、脾臓の白脾髄のB220陽性分画にFlag-mA3タンパク質は発現しており、CD4陽性分画にはその発現量は認めなかった。さらに腸管のリンパ組織であるパイエル板においても脾臓と同様の結果が得られた。 上記FLAGタグを挿入したマウスを用いて、脾臓・腸管(パイエル板)・胸腺・骨髄とリンパ組織および造血器に着目してAPOBEC3タンパク質の分布をみてきた。胸腺においてはCD8,CD4ダブルネガティブ分画およびCD8シングルポジティブ分画に特異的にFLAG-mA3タンパク質の局在を発見した。末梢組織より組織内におけるFlag-mA3タンパク質の発現量はかなり少なく、血球等の分化が進むとAPOBEC3の機能がどう変化するか、今後の検討課題である。 ●APOBEC3-AID 二重欠損マウスにおけるリンパ腫の評価 上記のマウスを用いて、APOBEC3ノックアウトマウスとFLAGタグ挿入したマウスとで、どのような生理的特徴や、各分画がどう変化し、APOBEC3がどのように関わっているのかを調べ、リンパ腫につながる知見を得る予定である。
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