研究課題/領域番号 |
19K17845
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
土橋 映仁 公益財団法人がん研究会, がん研究所 分子標的病理プロジェクト, 特任研究員 (40772249)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 |
研究実績の概要 |
メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患 (MTX-LPD) は、MTX投与中の患者に発生するリンパ増殖性疾患である。LPDには、リンパ腫、反応性過形成、境界領域病変が含まれ、リンパ腫が臨床上問題となる。これまでにMTX-LPDの遺伝子網羅的な解析は行われておらず、MTX-LPDの自然消退機序の解明はされていない。そこで、化学療法が必要であった例とMTXの中止だけで寛解が得られた例の遺伝子網羅的な解析による比較を行った。 がん研有明病院にて生検、手術を行い、メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患、または、その他の医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患と診断された患者41例のうち、検体が使用可能であった30例において、エクソームシーケンスを行った。また、リンパ腫組織型がDLBCLである検体を中心に、17例のRNAシーケンス、8例の全ゲノムバイサルファイトシーケンスを行った。さらに、共同研究機関より、38例の提供をいただき、追加でエクソームシーケンスを行った。これらの68例のエクソームシーケンスの中から、リンパ腫組織型がDLBCLである30例のエクソームシーケンスの結果を、化学療法が必要であった20例とMTXの中止のみで改善した10例で比較を行った。化学療法が必要であった群には、DLBCLを細分類する特徴的な遺伝子に変異が認められ、また、関節リウマチになりやすい遺伝子変異も認められた。 これらの結果から、化学療法が必要であった20例の中には、関節リウマチになりやすい遺伝子変異をもち、さらに、DLBCLを細分類する特徴的な遺伝子変異を多くもつ症例が集積していた。関節リウマチ患者は一般と比較し、リンパ腫になりやすいとされており、これを裏付ける一群がみられることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究機関より、研究対象として用いることが可能である検体をすべて得た。また、共同研究機関の検体を含め、現時点で得られているすべての検体のエクソームシーケンスデータを得た。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究機関から得られた検体を含め、すべての検体からDNAを抽出し、エクソームシーケンスデータを得ている。今後は、このデータをもとに解析を深め、その結果をさらに多くの症例で検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より、シーケンシングコストを削減することが可能であった。今後、これまでに得られたデータの検証をより多くの症例で行う予定であり、次年度使用額を翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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