研究課題
移植後10年以上無再発生存を保っていた101症例を対象に、末梢血から抽出したDNAを用いて骨髄系腫瘍で高頻度に認められる68遺伝子を対象とした標的シーケンスを行い、クローン造血の有無を検索した。また、コピーナンバー異常についてもNGSデータから検出した。101例中34例(33.7%)に44の遺伝子変異と5のCNVを認めた。多変量解析の結果、患者年齢やドナー年齢、慢性骨髄性白血病が移植後CHと相関のある有意な因子であった。また、NGSデータから検出されたコピーナンバー異常についてSNPアレイを用いてvalidationを行った。CHのあった12例について移植28日後の骨髄保存検体についてNGSを行いCHの有無を評価したところ、17のCHのうち4つは移植直後から同一のCHを認めたが、それ以外の13については認めなかった。このことから、移植後のCHにはドナー由来のものと移植後に新規に発生するものがあることが示唆された。移植後28日の検体でCHを認めた症例では10年後末梢血の赤血球分布幅が高値だった。移植後長期生存者でCHは高頻度に認められ、患者・ドナーそれぞれの年齢や基礎疾患との関連が明らかとなった。ドナー由来造血細胞のCHの有無に患者年齢や基礎疾患との関係が見られたことは、骨髄微小環境の関与を示唆するものと考えられた。
すべて 2021
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Br J Haematol.
巻: 195 ページ: e142-e146
10.1111/bjh.17716.