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2020 年度 実施状況報告書

MSC由来細胞外小胞のT細胞急性リンパ芽球性白血病に対する治療応用の基礎的検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K17856
研究機関藤田医科大学

研究代表者

藤井 紀恵  藤田医科大学, 医学部, 講師 (50834058)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード間葉系幹細胞 / 細胞外小胞 / T細胞急性リンパ芽球性白血病 / T細胞リンパ芽球性リンパ腫
研究実績の概要

T細胞急性リンパ芽球性白血病(T acute lymphoblastic leukemia: T-ALL)/ T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T lymphoblastic lymphoma: T-LBL)において,多剤併用化学療法や同種造血幹細胞移植の治療に反応しない難治例や再発・再燃例では予後は極めて不良であり,T-ALL/T-LBL(以下T-ALL)に対する新規治療法の開発が臨床上の重要課題である.
研究代表者は先行研究において,間葉系幹細胞より分泌される生体粒子「細胞外小胞」が末梢T細胞の機能的分化を制御し,急性移植片対宿主病に対する治療効果を発揮することを世界に先駆けて報告した.
この間葉系幹細胞由来細胞外小胞(mesenchymal stem/stromal cell-derived extracellular vesicle: MSC-EV)の持つT細胞抑制効果に着目し,難治性血液疾患であるT-ALLに対して,体外投与したMSC-EVの治療効果を示す可能性を考えた.当初の予想通り,多数株・多系統の細胞株にMSC-EVを添加したところ,T-ALL細胞株で特異的に増殖抑制効果を認め,AML細胞株やB-ALL細胞株では増殖は抑制されなかった.さらにこの増殖抑制効果は, 骨髄MSC由来EV(bone marrow MSC-derived EV: BM-MSC-EV)に比して,胎児付属物由来間葉系幹細胞が分泌するEVで高かった.
MSC-EVのT-ALL細胞に効果を示す分子メカニズムを細胞周期や抗アポトーシス分子の発現などをflow cytometry法やimmunoblot法を用いて検討したところ,がん関連遺伝子の抑制によりMSC-EVが増殖性抑制効果を示すことが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,T-ALL細胞株に対しては特異的に増殖抑制効果を認めた.さらに分子メカニズムにつき検討したところ,がん関連遺伝子と深く関わっていることが示された。

今後の研究の推進方策

細胞株で得られたデータがプライマリーの白血病患者検体で妥当であるか検証する.さらに,また白血病マウスを作成し,in vivoにおけるMSC-EVの効果を確認する.作用機序が解明されれば「EV製剤」の臨床応用を視野に高純度で生体内に投与できるグレードのEVを分離する手法を確立する準備を進める.マイクロアレイ解析やproteomics解析によってEVに含まれる機能的分子群が同定されれば,それらを内包したliposome製剤の開発を行い,細胞株や白血病モデルマウスにおいて同様の抗T-ALL効果を有することを示し,前臨床的検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

消耗品など大部分を他の費用にて賄ったため、今年度の使用額が少なかった。今後の網羅的解析や動物実験に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Menatetrenone facilitates hematopoietic cell generation in a manner that is dependent on human bone marrow mesenchymal stromal/stem cells2020

    • 著者名/発表者名
      Fujishiro Aya、Iwasa Masaki、Fujii Sumie、Maekawa Taira、Andoh Akira、Tohyama Kaoru、Takaori-Kondo Akifumi、Miura Yasuo
    • 雑誌名

      International Journal of Hematology

      巻: 112 ページ: 316~330

    • DOI

      10.1007/s12185-020-02916-8

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Correction to: Menatetrenone facilitates hematopoietic cell generation in a manner that is dependent on human bone marrow mesenchymal stromal/stem cells2020

    • 著者名/発表者名
      Fujishiro Aya、Iwasa Masaki、Fujii Sumie、Maekawa Taira、Andoh Akira、Tohyama Kaoru、Takaori-Kondo Akifumi、Miura Yasuo
    • 雑誌名

      International Journal of Hematology

      巻: 112 ページ: 599~602

    • DOI

      10.1007/s12185-020-02993-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒト間葉系幹細胞を応用した急性GVHD治療の展望2020

    • 著者名/発表者名
      三浦 康生、藤井 紀恵
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 61 ページ: 953~958

    • DOI

      10.11406/rinketsu.61.953

    • 査読あり
  • [学会発表] カラム凝集法ウラ検査におけるIgG抗体による凝集増強の影響2020

    • 著者名/発表者名
      小嶋隼人, 松浦秀哲, 足立奈緒子, 小栗あずさ, 加藤七海, 杉浦縁, 藤井紀恵, 三浦康生
    • 学会等名
      第52回藤田学園医学会学術発表会
  • [学会発表] 稀血患者の危機的出血への輸血部対応2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木良佳, 松浦 秀哲, 杉浦縁, 荒川章子, 松野 貴洋, 及川彰太, 白木真理, 坂本悠斗, 林由芽, 藤井紀恵, 三浦康生
    • 学会等名
      第52回藤田学園医学会学術発表会

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公開日: 2021-12-27  

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