骨髄腫細胞の骨病変部酸性環境への順応や治療抵抗性獲得の機序の解明とがん酸環境を標的とする新規治療法の創出を目的に検討を行った。骨髄腫細胞は酸を感受し、pH6.4程度までの酸性環境ではPI3K-AktおよびPIM2を介する生存シグナル経路を活性化した。そしてこの活性化がさらに自らのpHセンサーの発現を増強させつつ、遺伝子発現をエピジェネティックに制御調節し、酸のストレスに順応しつつ薬剤耐性を惹起していることが示された。がん酸環境を標的とする新規治療薬の候補として、ベンダムスチン、PIM2阻害活性を有するチアゾリヂンジオン誘導体およびモノカルボン酸トランスポーター阻害薬などが見出された。
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