現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATLの急性転化予測については、代表的な腫瘍マーカーであるsIL-2R値が有用な可能性がある。sIL-2R値の推移を時間依存性解析を用いて解析することで急性転化を未然に予測する指標が確立される可能性が出てきた。 また、DLBCLにおけるJAK-STAT3経路活性化の研究結果として、pSTAT3はGCB型よりもnon-GCB型に有意に多く検出された(57% vs 28%, P < 0.001)。MYD88L265P変異、STAT3変異およびEBウイルス感染例は有意にpSTAT3発現に関連していたが(P < 0.001, P = 0.01, P = 0.019)、意外な事にSOCS1変異やnon-L265P型のMYD88変異との関連性は認めなかった。DLBCLにおけるSTAT3活性化には前3者の異常が特に重要であることがわかった。一般的にSTAT3活性化は細胞増殖を促進するため、pSTAT3陽性症例はより臨床的にaggressiveであると想定されるが、これまでの報告は予後に関して一定の結論に達していなかった。今回の網羅的な解析によりリン酸化STAT3陽性GCB型は5年生存率が92%であるのに対し、pSTAT3陽性non-GCB型は45%と、Cell of OriginによりpSTAT3発現の臨床的意義が大きく異なることがわかった。特にpSTAT3陽性GCB型はIPIも加えた多変量解析でも予後良好因子として抽出された(HR 0.17, 95%CI 0.04-0.7, P = 0.014)。リン酸化STAT3陽性GCB型はMYD88L265P変異、EZH2変異、EBウイルス感染、BCL2/MYCの再構成といった予後不良とされる分子異常を伴う頻度が有意に低く、このことが予後良好と関連する背景として考えられた。
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