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2022 年度 実施状況報告書

進行期造血器腫瘍に対するHLA不適合移植後予防的ドナーリンパ球輸注による再発予防

研究課題

研究課題/領域番号 19K17869
研究機関自治医科大学

研究代表者

賀古 真一  自治医科大学, 医学部, 教授 (90458274)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード進行期造血器腫瘍 / ハプロ移植 / ドナーリンパ球輸注 / ハプロタイプ
研究実績の概要

進行期造血器腫瘍では、強力な抗腫瘍免疫を有すハプロアイデンティカルドナーからのHLA不適合移植(ハプロ移植)を行っても再発率が依然高いという問題がある。そこで①ハプロ移植後の地固め療法としてドナーリンパ球輸注(DLI)を行う研究と、②ハプロ移植後再発において腫瘍細胞のHLAハプロタイプの同定を行ってその後の治療方針を決定する研究とを本研究課題の中で計画していた。しかし当科でのハプロ移植は移植前処置としての保険適用をもたないアレムツズマブを使用していたため特定臨床研究法に対応する必要があったが、その対応に苦慮してしまい、ハプロ移植の施行患者数が予定よりも少なくなってしまった。
①については、2020年末にアレムツズマブは適用拡大となって移植前処置に通常診療として使用できるようになったため、それに合わせて準備を進めていたプロトコールの調整が必要となった。最終的に新たに調整したプロトコールは2021年3月に自施設倫理委員会の承認も得ることができた。症例登録を開始し、DLIも施行している。ただし当初対象とした非寛解期移植患者は早期の血液学的再発が多く、地固め療法としてDLIを行えないことも多いため、血液学的非寛解だけでなく、分子生物学的ならびに細胞遺伝学的非寛解期移植患者も対象に含むプロトコールを変更し、現在も臨床研究を継続しているところである。
②の研究は2019年の段階で自施設倫理委員会の承認を得て開始することができているが、前述のハプロ移植施行患者の減少で登録患者数は限定的となっている。ただしこれまでのところHLA lossが確認された再発患者は認められておらず、再発後の治療選択における有効な手段となっている。
ハプロ移植はアレムツズマブの適用拡大で施行患者数が回復しており、今後も研究の対象となる患者のリクルートを継続し、学会発表や論文化につなげていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究はハプロ移植が施行された進行期造血器腫瘍患者を対象として、研究を進めていくことが計画されている。しかし研究者自施設にて行われているハプロ移植は当時適応外使用であったアレムツズマブを移植前処置に用いる臨床研究として行われてきたものであったため、2019度からは特定臨床研究に移行することとなり、アレムツズマブを用いたハプロ移植を施行していく上での各種手続きがかなり煩雑となってしまった。そのため、これまで年間10人近く行われていたハプロ移植症例がしばらく減少してしまい、結果的に本研究計画の対象となる患者が少なく、研究を具体的に進めるうえでの遅れが出てしまった。
現在アレムツズマブの適用拡大が承認され、移植前処置での使用が保険診療として行えるようになった。これに伴ってハプロ移植の特定臨床研究の各種調整、計画中であった移植後地固め療法としてのドナーリンパ球輸注の臨床研究プロトコールを再度見直す必要が生じ、研究の進行がさらに遅れてしまった。しかしその調整ができてからは保険診療として行えるようになった分、症例数が回復してきている。

今後の研究の推進方策

進行期造血器腫瘍患者に対するハプロ移植の前処置に用いているアレムツズマブが保険診療として使用できるようになり、ハプロ移植の実施件数は増加傾向にある。ハプロ移植後の地固め療法としてドナーリンパ球輸注(DLI)を行う研究、ハプロ移植後再発において腫瘍細胞のHLAハプロタイプの同定を行ってその後の治療方針を決定する研究ともに自施設の倫理委員会で承認を得て開始されており、今後、適格症例に対する研究へのリクルートをより積極的に行い、研究の遂行をペースアップしていくことで研究結果の解析へと進めていく。なおDLIの臨床研究については、当初の予定より適応患者の範囲を拡げてその有効性を確認していくようにプロトコール改定を行った。これにより、研究に登録できる患者数が増え、研究がさらに進めやすくなると考えている。さらにはどちらの研究も、より多くの施設の参加する多施設研究に移行していくことも考慮して、多施設用のプロトコールについても検討していく。

次年度使用額が生じた理由

アレムツズマブを用いたハプロ移植における特定臨床研究への対応やアレムツズマブの適用拡大への対応のためハプロ移植施行件数が当初の予定より少なかったことと、ドナーリンパ球輸注の臨床試験の準備の遅れやプロトコール変更から研究全体の遂行に遅れが出ており、その分これまでの支出が減り、次年度使用が生じた。また新型コロナウイルス感染症の問題があって各種学会がWeb開催となることが続いており、旅費に変更が生じた点も次年度使用の一因となっている。本年度は臨床研究の遂行をさらに進める際の検査費・諸経費と、学会での発表に伴う各種準備費用に対して、予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Decision Analysis for Unrelated Bone Marrow Transplantation or Immediate Cord Blood Transplantation for Patients with Philadelphia Chromosome-Negative Acute Lymphoblastic Leukemia in First Complete Remission2022

    • 著者名/発表者名
      Kako S、Hayakawa F、Miyamura K、Tanaka J、Imai K、Kanda J、Morishima S、Uchida N、Doki N、Ikegame K、Ozawa Y、Takada S、Usui N、Ohtake S、Kiyoi H、Matsumura I、Miyazaki Y、Ichinohe T、Fukuda T、Atsuta Y、Kanda Y
    • 雑誌名

      Transplantation and Cellular Therapy

      巻: 28 ページ: 161.e1~161.e10

    • DOI

      10.1016/j.jtct.2021.11.021

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Donor lymphocyte infusion after haploidentical hematopoietic stem cell transplantation for acute myeloid leukemia2022

    • 著者名/発表者名
      Harada Kaito、Mizuno Shohei、Yano Shingo、Takami Akiyoshi、Ishii Hiroto、Ikegame Kazuhiro、Najima Yuho、Kako Shinichi、Ashida Takashi、Shiratori Souichi、Ota Shuichi、Onizuka Makoto、Fukushima Kentaro、Fukuda Takahiro、Ichinohe Tatsuo、Atsuta Yoshiko、Yanada Masamitsu
    • 雑誌名

      Annals of Hematology

      巻: 101 ページ: 643~653

    • DOI

      10.1007/s00277-021-04731-5

    • 査読あり
  • [図書] 今日の治療指針 2022年版[ポケット判] 10 血液疾患、造血幹細胞移植(適応と方法)2022

    • 著者名/発表者名
      福井 次矢、高木 誠、小室 一成 (賀古真一)
    • 総ページ数
      2224
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-04777-7
  • [図書] 血液疾患最新の治療2023-2025  V造血幹細胞移植 4. HLA半合致移植2022

    • 著者名/発表者名
      松村到、張替秀郎、神田善伸 (賀古真一)
    • 総ページ数
      342
    • 出版者
      南江堂
    • ISBN
      978-4-524-23368-7

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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