研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS:Sjogren’s syndrome)において, M3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R:M3 Muscarinic acetylcholine receptor)反応性Th17細胞に着目し、以下の解析を行った。 1)SSの末梢血中M3R反応性IL-17産生細胞の陽性率は50%(5/10例)であった。2)1)の陽性例において、T細胞エピトープはM3Rペプチド(AA76-95)であった。3)M3R反応性Th17細胞のサイトカイン産生能を解析し、IL-17産生細胞のみでなくIL-17/IFNg共産生細胞もM3R反応性Th17細胞には含まれることを確認した。4)臨床像の比較を行い、M3R反応性Th17細胞陽性例は、陰性例と比較し、M3R第2、3細胞外領域に対する抗体価が有意に高く、疾患活動性が高い傾向が明らかになった。5)M3R反応性Th17細胞陽性例において、血中M3R反応性Th17細胞と同一T細胞クローンが炎症局所の唾液腺に存在することを明らかにした。 以上の解析を行い、論文にまとめて発表した。その後追加で以下解析を行なっている。 1)SS末梢血中T細胞サブセット(Th1,Th17,Tfh1,Tfh2,Tfh17,Treg)と唾液腺局所浸潤T細胞との重複T細胞クローンの解析を行い、唾液腺浸潤T細胞において末梢血中のTfhサブセットとの重複頻度が最も高い結果を得た。2)唾液腺における重複頻度の高いT細胞クローンに着目した末梢血T細胞サブセットと炎症局所環境の解析を行い、pSSの唾液腺に有意に高発現するサイトカイン環境が、病原性T細胞サブセットの分化誘導に関与している可能性がある結果を得ている。3)治療標的となりうる病原性Tfh細胞に着目した分化誘導機構の解析を引き続き行なっている。 今後も炎症局所において頻度の高かったT細胞クローンに着目して末梢血T細胞サブセットとの関係性を解析、論文発表に向けて準備を行う予定である。
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