本研究の目的は、全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患感受性遺伝子として報告されている共刺激分子CD226に着目して、SLEの病態形成におけるCD226の機能を明らかにしCD226を標的とする治療法を確立することである。今年度は昨年度までに行ったCD226陽性B細胞および血清可溶型CD226(sCD226)に関する研究を進め、下記の知見を得た。 ・SLE患者と健常者のB細胞サブセット上のCD226発現をフローサイトメーターで測定し、B細胞の分化に従いCD226陽性率が高くなることを見出した。またSLE患者と健常者の比較では全B細胞サブセットでSLE患者のCD226陽性率が有意に高かった。 ・SLE患者の治療前後でB細胞のCD226陽性率およびsCD226を測定したところ、いずれも疾患活動性の改善に伴い値が低下した。 ・ループス腎炎患者の検討では、B細胞のCD226陽性率は腎炎の活動性と有意な正の相関を示し、CD226陽性率が低値の患者は1年後の寛解達成率が高かった。 本研究の結果から、SLE患者ではCD226陽性B細胞およびsCD226は疾患活動性を反映し転帰を予測するバイオマーカーとして有用と考えられ、これらの結果は論文として公表した。
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