研究課題/領域番号 |
19K17897
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
村岡 成 東邦大学, 医学部, 助教 (40648052)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 関節リウマチ / 間質性肺炎 / フラクタルカイン / SKGマウス |
研究実績の概要 |
関節リウマチにおいて間質性肺炎は高頻度に合併し、関節リウマチの主要な死亡原因である。その治療は依然として確立しておらず、フラクタルカインの関与、およびその阻害による効果を解明することを目的として多角的に検討した。 まず関節リウマチに伴う間質性肺炎の肺病理組織において、フラクタルカインと、その受容体であるCX3CR1の発現を確認した。次に、ヒト肺線維芽細胞にTNFα、INFγ刺激を行い、フラクタルカインmRNAをPCR法で測定した。これらのサイトカイン刺激によりフラクタルカイン発現は亢進し、TNFαとINFγの共刺激によりフラクタルカイン発現はさらに促進された。また、フラクタルカインはマウス肺線維芽細胞の細胞遊走を促進させた。さらに、SKGマウスにZymosanを添加することで関節炎と間質性肺炎を誘導した。そこで、Zymosanに加えて抗フラクタルカイン抗体も投与を行い、関節炎と間質性肺炎への影響を解析した。その結果、抗フラクタルカイン抗体はZymosanによる関節炎を抑制しなかった。さらに間質性肺炎においても、抗フラクタルカイン抗体は細胞浸潤、線維化ともに有意な組織学的な変化を認めなかった。 SKGマウスにおける間質性肺炎は、抗フラクタルカイン抗体により組織学的な変化が認められなかったが、間質性肺炎におけるフラクタルカインの役割を明らかにするため解析をすすめる。マウス気管支肺胞洗浄液における抗フラクタルカイン抗体の影響、肺線維芽細胞における線維化マーカーの解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節リウマチに伴う間質性肺炎の病態を解明していくことを目的として、フラクタルカインの影響を多角的に解析している。関節リウマチに伴う間質性肺炎の肺病理組織でのフラクタルカイン発現に加えて、ヒト肺線維芽細胞におけるサイトカインによるフラクタルカイン発現促進作用も解析できた。現在、すすめているSKGマウスにおける間質性肺炎の解析も進み、概ね順調に進捗している。
|
今後の研究の推進方策 |
SKGマウスにZymosan、抗フラクタルカイン抗体を投与した際の気管支肺胞洗浄液を採取し、フラクタルカインが細胞サブセットにおよぼす影響を解析する。さらにZymosanを投与したSKGマウスの肺線維芽細胞における線維化マーカーを測定する。その際の抗フラクタルカイン抗体の影響も検討する。 これらの解析により、フラクタルカインの間質性肺炎への影響を明らかにしていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の必要に応じて研究費を執行したため、次年度使用額が生じた。SKGマウスにおける間質性肺炎の気管支肺胞洗浄液の解析、肺線維芽細胞における線維化マーカーの解析に入ったところである。次年度は、これらの計画に変更はなく試薬、解析、論文投稿のために費用に使用する予定である。
|