研究課題/領域番号 |
19K17898
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
上出 庸介 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), アレルギー科, 医師 (90646811)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 / ETosis / 好酸球 |
研究実績の概要 |
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis: EGPA)は強い好酸球性炎症を特徴とする重症かつ難治性疾患である。近年、細胞死の一形態としてExtracellular trap cell death (ETosis)が注目されている。好酸球性炎症疾患では、好酸球のETosis(EETosis)が炎症の増悪サイクルに寄与していることがわかってきたが、現時点でEGPAにおけるEETosisの関与は全く不明であった。そこで我々は、EGPAにおけるEETosisを定量的に評価し、EGPA診断への有用性、病態への関与を明らかにしたいと考えた。まず我々は、免疫染色によってEGPA症例の病理組織検体でETosisが生じていることを確認した。ETosisは①細胞外のシトルリン化ヒストンの存在、②顆粒蛋白であるmajor basic protein (MBP)と細胞質蛋白であるgalectin-10の存在の不一致で確認した。この免疫染色結果は23症例中21症例で確認され、皮膚、上部消化管、下部消化管、肺いずれにおいても確認することができた。健常成人の末梢血より分離した好酸球に対し人為的にETosisを生じさせると、galectin-10が細胞外に放出されることが確認できたため、EPGA患者の血清中galectin-10を測定したところ、健常成人と比べて高値であることが確認できた。これはEDNなど顆粒蛋白でも同様の傾向であるが、血中好酸球数を考慮した場合においてもgalectin-10はEDNと比べ高値であった。今後、ETosis定量化の観点から、血中galectin-10の意義を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的の1つである、EGPAの組織を用いて好酸球ETosisの存在を評価することができた。また、顆粒蛋白や細胞質蛋白がEGPA患者の血清中で高値であることが確認され、定量化につなげられると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね予定通りに検討が進んでおり、今後はEGPA活動期、安定期、健常成人の血清を用いて顆粒蛋白、細胞質蛋白を測定、比較し、EGPAにおける好酸球性炎症の定量を目指す。このため、ELISA検査の追加、病理組織の免疫染色の追加を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画で当初予定していたほどのELISAキットを試用しなかったため、その分を次年度以降に繰り越すこととなった。
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