研究課題
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis: EGPA)は強い好酸球性炎症を特徴とする重症かつ難治性疾患である。近年、細胞死の一形態としてExtracellular trap cell death (ETosis)が注目されている。好酸球性炎症疾患では、好酸球のETosis(EETosis)が炎症の増悪サイクルに寄与していることがわかってきたが、現時点でEGPAにおけるEETosisの関与は全く不明であった。そこで我々は、EGPAにおけるEETosisを定量的に評価し、EGPA診断への有用性、病態への関与を明らかにしたいと考えた。2019年度にはEGPA症例の病理組織検体でETosisが生じている事を確認し、galecin-10がETosisの評価に重要であることを見いだした。2020年はさらに、コントロールとして気管支喘息との比較を行い、galectin-10はEGPAに特徴的に高値であり、治療前に特に高いことを確認した。顆粒蛋白であるEDNやECPと比較してもgalectin-10は治療前のEGPAで高値であり、血中好酸球数に依存しないことを確認した。さらにEGPAの活動性指標であるBirmingham vasculitis activity score (BVAS)と相関すること、IL-5血中濃度と相関することを確認した。またこれらの結果を論文発表した。galectin-10は活動的なEGPAに対して特異的マーカーとなる可能性が確認されたため、今後はカットオフの設定や血液以外での動態評価(尿中でも測定可能であることを確認済)といった研究を検討している。
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Arthritis & Rheumatology
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10.1002/art.41727