研究課題
関節リウマチは慢性の破壊性関節炎であり、日本においては100万人近い患者がいると想定されている。近年の薬物治療の進歩により、関節の予後は以前と比べて改善しているが、未だ症状に苦しんでいる患者が多い。そこで本研究は関節リウマチ病態に関連する新規分子を解析し、新たな治療ターゲットを創出することを目的とした。申請者の予備実験から関節リウマチの病態悪化にセマフォリン3Gが関与している可能性が示唆されたため、同分子に着目し研究を行った。本年度はセマフォリン3Gの作用する細胞であるマクロファージについて主に検討を行った。マクロファージはセマフォリン3Gの投与によって活性化し、関節炎を悪化させる可能性が考えられた。また、RNAシーケンス法を用いてセマフォリン3Gで刺激され、活性化したマクロファージの遺伝子発現を網羅的に解析し、興味深い結果を得ている。現在、セマフォリン3Gによる遺伝子発現変化とマクロファージ機能の関係性を検討している。研究機関を通じて、1:関節炎局所ではセマフォリン3Gが強く発現していること、2:セマフォリン3Gは主にマクロファージに作用していること、3:セマフォリン3G欠損マウスは実験的な関節炎にかかりづらいこと4:セマフォリン3Gで刺激されたマクロファージは活性化することを明らかにした。今後は、セマフォリン3Gによるマクロファージ活性化を防ぐことが関節炎の治療に繋がりうるかを検討する実験を進める予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Investigative Dermatology
巻: in press ページ: in press
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Frontiers in Immunology
巻: 11 ページ: eCollection
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Cellular & Molecular Immunology
10.1038/s41423-020-0384-0