研究課題
関節リウマチは、全身の関節に慢性炎症を来す難治性の自己免疫疾患であり、関節内の滑膜組織が増生し、進行性に軟骨と骨が破壊される。近年、分子標的治療薬の登場により、従来の治療法では疾患活動性を十分にコントロールできなかった症例においても、関節破壊の進行を強力に阻止し、病状を寛解に持ち込むことが可能となった。現在、様々な分子標的治療薬が本邦の関節リウマチ治療において臨床応用され、その骨破壊抑制効果が示されている。関節リウマチ治療の現場は、「早期の診断と治療介入により寛解を目指す」というのが主な指針となっており、開発中の製剤も含めて分子標的治療薬の需要は今後ますます広がると予想される。その一方で、生体内に投与した分子標的治療薬が実際に、“いつ”、“どこで”、“どのようにして”効果を発揮するのか、その薬理作用の詳細については不明な点が多い。分子標的治療薬の適切かつ合理的な薬剤選択法の確立のための、薬剤の生体内動態・薬効発現の実体的な理解は今後の関節リウマチ治療における喫緊の課題である。本研究では、これまで独自に開発・応用してきた生体二光子励起イメージング技術を駆使して、関節リウマチ治療において臨床応用されている分子標的治療薬の生体内動態・薬効発現メカニズムを解明する。本年度は、分子標的治療薬を蛍光標識して生体内動態を経時的にin vivoで可視化し、炎症関節内における薬剤の薬効発現部位やドラッグデリバリー、標的細胞に及ぼす効果など、薬効発現の機序を解析した。
2: おおむね順調に進展している
生体二光子励起イメージング技術を駆使して、分子標的治療薬の生体内動態を経時的に可視化し解析を行うことができ、本年度終了時としては順調に経過している。
本年度に引き続き、生体関節イメージング系による炎症細胞動態の可視化技術を薬効評価系として活用し、臨床現場で使用されている分子標的治療薬の薬効発現機序の動的解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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