研究課題
CX3CR1 陽性 Tph 細胞の IgG4-RD の病態形成における役割を明らかにし、IgG4-RD の病態解明を進める目的で本研究を開始した。IgG4-RD 患者末梢血中で CX3CR1 陽性 Tph 細胞が増加していた。CX3CR1 陽性 Tph 細胞は CX3CR1 陰性 Tph 細胞と比較して、細胞傷害性 T 細胞 (CTL) 関連遺伝子を高発現しており、新規の CD4 CTL である可能性が示唆された。今回我々は Tph 細胞、特に CX3CR1 陽性 Tph 細胞が持つ細胞傷害能という新たな機能を発見することができた。さらに、IgG4-RD における Tph 細胞の CX3CR1 陽性率は罹患臓器数との有意な相関を認めた。この結果から CX3CR1 陽性 Tph 細胞が IgG4-RD の病変の拡大に重要な役割を担っている可能性が示唆された。また、IgG4 関連涙腺・唾液腺炎 (IgG4-DS) の病変部位の顎下腺の血管内皮や導管上皮において CX3CL1 が正常顎下腺よりも高発現していることを発見した。IgG4-RD のなかでも IgG4-DS においては顎下腺血管内皮や導管上皮が CX3CR1 陽性 Tph 細胞による細胞傷害の標的となっている可能性が考えられた。この結果は In vitro においても、IgG4-RD 患者の CX3CR1 陽性 CD4 T 細胞は CX3CR1 陰性 CD4 T 細胞と比較して、ヒト顎下腺導管上皮細胞や血管内皮細胞に対して、より強い細胞傷害を与えることが確認された。以上の研究結果から、IgG4-RD では末梢血中の CX3CR1 陽性 Tph 細胞が増加し、CX3CL1 が高発現している病変箇所に遊走することで細胞傷害能を発揮し組織傷害と病変の拡大に繋がっている可能性があると考えられた。
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Modern Rheumatology
巻: latest ページ: 1-12
https://doi.org/10.1080/14397595.2020.1719576