研究課題/領域番号 |
19K17911
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
岸本 大河 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (20794522)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / Bach1 / Nrf2 / HO-1 |
研究実績の概要 |
本研究はヘムオキシゲナーゼ(HO)-1誘導剤であるフマル酸ジメチル(DMF)およびheminの全身性エリテマトーデス(SLE)への臨床適応承認に向けた前臨床試験として、SLEのモデルマウスやSLE患者血球にこれらの薬剤を投与し、SLE病態の改善、サイトカイン産生の変化、M2マクロファージ(Mφ)機能不全の修復が可能かを検討するものである。まず先行研究で示したように、健常人単球をM-CSFで刺激することによりCD163およびHO-1の発現が亢進しているM2Mφを作製し、この細胞をインターフェロン(IFN)α(1U/ul)で刺激をすることでHO-1の発現低下が得られることを確認した。そのうえで、複数の検体でDMFおよびheminで刺激を行い、両薬剤でHO-1の発現がcontrolと比して有意に亢進することを確認した。IFNαによる刺激の強さ、DMF, heminの培養液中の濃度がHO-1の発現、炎症性サイトカインにあたえる影響について健常人の検体を用いて評価を行っている。疾患活動性があるSLE患者の血清HO-1をELISA法で確認したが、健常人との差はなく、血清HO-1を用いてSLEの疾患活動性を判定することは困難なことを2022年の日本リウマチ学会で報告した。活動性ループス腎炎患者の尿中HO-1は治療前は検出感度以下であるが、治療後に検出できるようになった。このことから疾患活動性が抑えられることにより、HO-1が持つ抗炎症作用を回復している可能性がある。腎臓の尿細管はHO-1を高発現していることが知られている。体内のHO-1の発現は血清よりも尿で鋭敏にとらえられる可能性があり、より低侵襲で評価ができることから、疾患活動性を図る良い指標になる可能性がある。症例数が得られ次第、より詳細な評価を行う予定とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
活動性ループス腎炎の患者検体が少数例しか得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状態をみて腎炎以外の患者も含めて解析を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ループス腎炎の患者検体採取が少数例でとどまっていたため試薬購入が予定よりも遅れ次年度使用額が生じた。今後、集積しているcDNAや蛋白の検体、マウスを用いた解析をすすめていく予定である。
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