研究課題/領域番号 |
19K17924
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱口 重人 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (20735360)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肺炎球菌 / GFP導入 |
研究実績の概要 |
2019年度は、新規の肺炎発症マウスモデル確立をめざすため、8週齢のC57BL/6Jマウスを用いて経鼻的に3-5日程度で肺炎を自然発症しうるモデルの作製を進めている。我々はプレリミナリーな実験として莢膜型4、6A、23Fの肺炎球菌を用いてC57BL/6Jマウスで経鼻保菌から肺炎が発症しうることをすでに確認している。本年度は、投与菌量と莢膜型とのタイトレーションを行っているが、COVID-19の影響による動物舎の閉鎖などもあり、投与菌量の最適化を引き続き行っている途中である。 また、in vivo発光イメージングを用いた肺炎球菌の鼻腔から肺胞への移動の詳細な追跡を行うため、これに用いる蛍光タンパク質発現変異株の作製を行った。Serotype 6AであるBG7322株を用いてGFP遺伝子を導入し、そのGFP発現を確認できている。この株を用いて今後のin vivoイメージングを用いた細菌trackingが可能となる。 現在、生理的な状態での肺炎発症をシミュレートするための肺炎発症マウスモデルの作製途中であるが、このタイトレーションにはある程度の時間が必要なことが見込まれる。この動物モデルが開発されれば、肺炎の重症化以前のステップに対する治療介入を検討できるツールとなる。これまではっきりとしていなかった肺炎発症機序の解明に不可欠なモデルであり、今後の新規ワクチンなどの予防法の新たな確立も期待できる。具体的にはPspAワクチンを用いて肺炎球菌の生活環におけるワクチンの影響評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による動物実験施設の閉鎖などの影響もあり、肺炎発症モデルマウスの作製と最適化には予想よりも時間がかかっている状態である。ただし現状で複数の胸膜型(4、6A 、23F)を用いて肺炎発症実験を行っており、2020年度中には肺炎発症モデルが作製できる予定である。 一方、GFP導入変異株の作製などの今後の実験に向けてのツール作製は順調に進捗しており、今後肺炎モデルが完成し次第、迅速に次の実験に取り掛かる準備は整っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在実施している肺炎発症モデルマウスの作製に全力で取り組み、これが完成した段階で細菌trackingのためのin vivo発光イメージングをすでに作製済みのGFP導入肺炎球菌変異株で実施する。 肺炎球菌モデルに最適な莢膜型が6Aだけとは限らないため、今後引き続き異なる複数の莢膜型でもGFP変異株の作製を継続する。 PspA変異株の作製もすでに行っており、ワクチン投与における鼻腔内保菌量への効果、肺炎発症への効果、IPDへの進展への効果、さらには他者へのトランスミッションの起こりやすさへの効果を順次実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験が当初の予定よりも遅延しているため、動物実験およびその関連実験でのかかると想定されていた経費を計上していない。2020年度にこちらも併せて実施して経費として計上する予定である。
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