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2020 年度 実施状況報告書

腸内細菌を標的としたヒト肥満ワクチンの開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K17932
研究機関大阪市立大学

研究代表者

藤本 康介  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30802805)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードIgA / 粘膜ワクチン / 腸内細菌
研究実績の概要

腸内細菌叢の構成異常(dysbiosis)に対する考え方も時代と共に変化してきており、単純な菌叢の構成割合の変化だけでなく、菌叢が持つ機能も解析することが重要となってきた。そのため、dysbiosis関連疾患の腸内微生物叢が持つ機能(微生物叢が持つ遺伝子群)を網羅的に解析するための解析パイプラインを作成し報告した(Cell Host & Microbe. 2019)。さらに、dysbiosis関連疾患の代表として知られている難治性Clostridioides difficile腸炎に対する糞便移植症例を解析し、糞便移植治療によって微生物叢が有する機能の改善を示した(Gastroenterology. 2020)。肥満症例の微生物叢解析を引き続き行っているが、肥満症例に特徴的な菌の同定のみならず微生物叢の機能解析も重要と考えている。本研究課題で用いるワクチン製剤を、肥満で過剰に亢進している機能にフォーカスして抗原の標的とすることで、菌叢の機能の制御に繋げられる可能性があると考えている。また、昨年度肥満患者で増加しているClostridium ramosumに対するワクチン効果を既に示しており、Clostridium ramosumの腸管内での機能を明らかにすることが重要である。そのため、非肥満者と肥満者それぞれから単離されるClostridium ramosumのショットガンシークエンスや機能解析を行うための準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本申請課題では、ヒト肥満に関連する腸内細菌を制御することで、次世代粘膜ワクチンが肥満の病態を改善する新しいツールになることを目的としている。ワクチンのターゲットとなる菌としてClostridium ramosumを既に同定したが、Clostridium ramosumの腸管内での機能が十分に明らかになっていないため、良いワクチン抗原の探索を行うためにもClostridium ramosumが有する機能解析は必要と考えている。ヒトへの臨床応用のため不完全フロイントアジュバントに変わる基剤候補の探索も進んでおり、実験計画通り概ね順調に順調に進展している。

今後の研究の推進方策

肥満者に特徴的な腸内細菌については、Clostridium ramosumを中心として解析を継続する。引き続き、ヒトへの臨床応用に向けて、ワクチン製剤としての実用性(作製方法なども含めて)や安全性についても検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

本年度の研究においては、購入済みの一般的な試薬から施行可能なものが多く含まれていた。また新型コロナ感染症の影響により、一部動物実験のスケジュールが変更になった。次年度、物品費を中心に研究を進めるために使用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Functional Restoration of Bacteriomes and Viromes by Fecal Microbiota Transplantation2021

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto K, Kimura Y, Allegretti JR, Yamamoto M, Zhang YZ, Katayama K, Tremmel G, Kawaguchi Y, Shimohigoshi M, Hayashi T, Uematsu M, Yamaguchi K, Furukawa Y, Akiyama Y, Yamaguchi R, Crowe SE, Ernst PB, Miyano S, Kiyono H, Imoto S, Uematsu S.
    • 雑誌名

      Gastroenterology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1053/j.gastro.2021.02.013

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Proton pump inhibitors enhance intestinal permeability via dysbiosis of gut microbiota under stressed conditions in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Takashima Shingo、Tanaka Fumio、Kawaguchi Yunosuke、Usui Yuki、Fujimoto Kosuke、Nadatani Yuji、Otani Koji、Hosomi Shuhei、Nagami Yasuaki、Kamata Noriko、Taira Koichi、Tanigawa Tetsuya、Watanabe Toshio、Imoto Seiya、Uematsu Satoshi、Fujiwara Yasuhiro
    • 雑誌名

      Neurogastroenterology & Motility

      巻: 32 ページ: -

    • DOI

      10.1111/nmo.13841

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vaccine therapy for dysbiosis-related diseases2020

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto Kosuke、Uematsu Satoshi
    • 雑誌名

      World Journal of Gastroenterology

      巻: 26 ページ: 2758~2767

    • DOI

      10.3748/wjg.v26.i21.2758

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metagenome Data on Intestinal Phage-Bacteria Associations Aids the Development of Phage Therapy against Pathobionts2020

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto K., Kimura Y., Shimohigoshi M., Satoh T., Sato S., Tremmel G., Uematsu M., Kawaguchi Y., Usui Y., Nakano Y., Hayashi T., Kashima K., Yuki Y., Yamaguchi K., Furukawa Y., Kakuta M., Akiyama Y., Yamaguchi R., Crowe SE., Ernst PB., Miyano S., Kiyono H., Imoto S., Uematsu S.
    • 雑誌名

      Cell Host & Microbe

      巻: 28 ページ: 380~389.e9

    • DOI

      10.1016/j.chom.2020.06.005

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 腸内細菌と肥満ワクチン2020

    • 著者名/発表者名
      藤本康介, 植松智
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: Vol73(5) ページ: 526-533

  • [雑誌論文] IgA誘導型新規粘膜ワクチン2020

    • 著者名/発表者名
      藤本康介, 植松智
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: Vol75(4) ページ: 477-485

  • [学会発表] ヒト腸内ウイルス叢解析を基盤とした腸内共生病原菌の制御法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      藤本康介, 植松智
    • 学会等名
      第94回日本細菌学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 抗原特異的な粘膜免疫応答を介した腸内細菌関連疾患の制御2020

    • 著者名/発表者名
      藤本康介, 植松智
    • 学会等名
      第117回日本内科学会講演会
  • [学会発表] ヒト腸内ファージ解析を基盤とした新規溶菌酵素の同定と疾患への応用2020

    • 著者名/発表者名
      藤本康介, 植松智
    • 学会等名
      第41回日本炎症・再生医学会
  • [学会発表] ヒト腸内ウイルス叢解析を基盤としたpathobiontの制御2020

    • 著者名/発表者名
      藤本康介
    • 学会等名
      第48回日本臨床免疫学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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