肥満や糖尿病の病態に関連している腸内共生病原菌(pathobiont)であるClostridium ramosumが日本人肥満者で多いことを示した。また、CpGとカードランを用いた粘膜ワクチンがClostridium ramosumを定着させた肥満・糖尿病マウスモデルの病態改善に有効であることを示した。Clostridium ramosumの腸管内での機能を明らかにするために、患者糞便サンプルを用いて複数のClostridium ramosum株を単離した。単離したClostridium ramosum株については、ショットガンシークエンスを行い、得られたゲノム情報を用いて機能解析を行った。Clostridium ramosumを定着させたノトバイオートマウスを作製し、Clostridium ramosumが生体に与える影響をRNA-Seqを用いて解析した。ヒトへの臨床応用のため不完全フロイントアジュバントに変わる基剤候補の探索も進め、water-in-oil-in-water型エマルジョンを基剤とした粘膜ワクチンの有効性を示すことができた。レパトア解析を用いて、Clostridium ramosumを標的とした粘膜ワクチンの有効な抗原探索を行った。粘膜ワクチンの抗原候補として複数のタンパクを同定することができたが、それらの抗原の有用性については解析することができず、今後の課題と考える。Clostridium ramosumの抗原の最適化を行い、動物モデルを用いた安全性および有効性の評価を今後行う予定としている。
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