研究課題/領域番号 |
19K17936
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三木田 馨 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40793881)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | LAMP法 / 核酸クロマトグラフィ / Buruli ulcer / NTDs / 簡易遺伝子診断法 |
研究実績の概要 |
ブルーリ潰瘍は、西アフリカを中心に流行している皮膚抗酸菌感染症であり、WHOの挙げるNTDs (顧みられない熱帯病)のうちの一つである。早期に診断・治療を 行わないと広範囲の潰瘍を生じ、関節にも病変が及ぶことで永続的な機能障害を呈する。しかしながら、流行地域で実施可能な簡易診断法が存在しないため、疾 病対策が遅れている。同地域に流行する他のskin NTDsについても、同様の問題が存在している。本研究はLAMP法またはRPA法とDNAクロマトグラフィを組み合わ せた、‘どこででも誰にでも’実施可能な、BUと他のskin NTDsを同時に診断する“multiplex”な皮膚感染症簡易遺伝子診断法の確立を目的とする。本法の確立 により、誰でも実施可能な、簡便・正確な診断が可能になることで、これらの皮膚感染症に対する疾病対策が進展することが期待される。 現在までに、ブルーリ潰瘍の起因菌であるMycobacterium ulceransのIS2404を標的として、LAMP法、RPA法の開発を行った。IS2404の希釈系列、また他の複数の 細菌、抗酸菌を用いて、複数のプライマーセットを用いて検討を行ったところ、検出感度、特異度共に良好な候補プライマーを、LAMP法、RPA法共に得ることが できた。 今年度は、それらの候補プライマーを用いて、LAMP法、RPA法とDNAクロマトグラフィの組み合わせた検出系の作製、条件検討を行なった。 結果としては、通常のLAMP、RPA法と、今回作製したLAMP法+DNAクロマトグラフィ、RPA法+DNAクロマトグラフィを比較したところ、検出感度・特異度とも同等の結果を得られた。 現在は、臨床検体を用いた検討の実施のための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、それらの候補プライマーを用いて、LAMP法、RPA法とDNAクロマトグラフィの組み合わせた検出系の作製、条件検討を行ない、通常のLAMP、RPA法と、今回作製したLAMP法+DNAクロマトグラフィ、RPA法+DNAクロマトグラフィを比較したところ、検出感度・特異度とも同等の結果を得られた。 一方で、他の病原体の検出法については開発途上にある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各原因微生物に対するLAMP法、RPA法の構築を実施する。ブルーリ潰瘍に加え、皮膚結核、皮膚リーシュマニア症、Yaws、を標的に診断系の開発を行 う。加えて、DNAクロマトグラフィの確立、臨床検体を用いての検討を行なっていく。さらに、multiple DNAクロマトグラフィの確立を進めていく。 臨床検体については、当初はガーナのブルーリクリニックの症例を用いることを計画していたが、諸般の事情により、コートジボワールの臨床検体を使用することに研究計画を変更した。この計画の変更は検出系の開発には影響はなく、またコートジボワールの研究協力者との調整は進んでいるため、全体の研究遂行上も大きな問題は生じないと考えているが、COVID-19の影響で臨床検体を得るためのフィールドワークが遅れていることが懸念事項である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のDNAクロマトグラフィ法を用いた検討が順調に進んだことと、COVID-19の影響で、今年度は臨床検体を用いた検討が開始できなかったことが原因で、未使用額が生じた。 翌年度に、引き続き、各原因微生物に対するLAMP法、RPA法の構築を実施する。ブルーリ潰瘍に加え、皮膚結核、皮膚リーシュマニア症、Yaws、を標的に診断系の開発を行 う。加えて、DNAクロマトグラフィの確立、臨床検体を用いての検討を行なっていく。さらに、multiple DNAクロマトグラフィの確立を進めていく。
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