研究課題/領域番号 |
19K17939
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
梶原 千晶 東邦大学, 医学部, 助教 (80638883)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レジオネラ |
研究実績の概要 |
本研究は、宿主細胞内でのROS産生を中心とした感染防御機構が、レジオネラによって抑制されるメカニズムを解析することを目的として行うものである。これまで、レジオネラ感染後のマウスおよび骨髄由来マクロファージにおいて、代謝中枢であるAMPK(AMP活性化キナーゼ)の活性化が強く抑制されること、またミトコンドリア由来ROSの産生も低下することを報告している。AMPK経路の下流には、アポトーシスやオートファジーなど、いずれも感染免疫機構に重要な生体応答システムが存在していることが知られている。 骨髄由来マクロファージにレジオネラを感染させた実験系において、RNA-PCRアレイ解析を実施した結果、オートファジー感染因子の発現量が減少していたことを受けて、生細胞を用いた蛍光顕微鏡観察を行った。レジオネラ感染マクロファージは、未感染マクロファージに比べてオートファジー過程で生成される小胞が減少しており、その機能が低下していることが観察された。レジオネラ感染マクロファージに、AMPKを活性化させる作用がある薬剤(メトホルミン;2型糖尿病治療薬)を添加しておくと、その減少が抑制されたため、オートファジーの機能低下はAMPKの活性抑制が関与しているものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レジオネラ感染後のAMPK経路の下流因子に着目した実験を実施し、新しい知見を得ることができた。レジオネラ菌株は現在一種類のみを用いているが、複数の菌株また臨床分離株を用いることにより、AMPKおよびオートファジー機能を減弱させるレジオネラの病原性についても検討していく予定である。これまで10種類のレジオネラ菌株(ATCC株)を用いたマクロファージ感染実験の結果、菌株ごとにAMPKリン酸化の減弱レベルが異なっており、このことはレジオネラがマクロファージ内での増殖能と関連があることが示唆される結果であった。今後さらに詳しい検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
レジオネラ感染におけるAMPK経路とROS産生経路との関連性について検討していく予定である。この時、性質の異なるレジオネラ菌株を用意し比較検討もしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物(マウス)の購入数が予定よりすくなかったため。 今後これまでより多くの実験動物(マウス)の使用を予定しているので、この購入費としても使用する。また、遺伝子発現解析試薬を中心とした消耗品購入に使用する予定である。
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