レジオネラがマクロファージに侵入し増殖すると同時に、宿主は本来の生体防御機能が低下している状態に陥ると考えられる。レジオネラが誘導するマクロファージのアポトーシスは、細胞内寄生菌であるレジオネラが感染の場を失うことで増殖を防ぐ効果があると考えられているが、一方で菌の拡散に寄与するとの見方もある。マクロファージが特異的に産生する分泌タンパク質であるAIM(apoptosis inhibitor of macrophages)は、アポトーシスを抑制する機能をもち、様々な疾患との関連が報告されている。今回、レジオネラがマクロファージに誘導するアポトーシスにAIMが関与しているかについて、AIM欠損マウスを用いて解析を行った。AIM欠損マウスおよび野生型マウスの骨髄由来マクロファージにレジオネラを1時間感染させ(マクロファージ1に対してレジオネラ0.5)、細胞内に取り込まれなかった培養液中のレジオネラを除去するため3回洗浄後、細胞内のレジオネラ菌数を経時的に測定した。洗浄後のマクロファージ(感染後0時間)では、野生型マクロファージとAIM欠損マクロファージの間で菌数の差はなかったことから、菌の取り込みに差はないことがわかった。感染後16時間、24時間、48時間後においては、AIM欠損マウス由来マクロファージにおいて菌数が減少していた。このときマクロファージの細胞増殖性、代謝活性を評価するためにMTTアッセイを行った。感染前のマクロファージ数は野生型マウス、AIM欠損マウスで差はなく、感染後16時間、24時間、48時間後において、AIM欠損マウス由来マクロファージの方が有意に高値であった。
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