研究実績の概要 |
藤田医科大学病院で検出されたカルバペネマーゼ腸内細菌科細菌77株を研究対象とした。菌種はすべて全ゲノム解析を行い、BLASTで16srRNA領域の相同性を確認し、生物学的性状も確認して微生物の同定を行った。全ゲノム解析はIlluminaのMiseqを用いて行い、得られたFastqファイルはnullarborパイプラインによって、アセンブリを行った。 菌種内訳はEnterobacter cloacae complex48株、Klebsiella pnuemoniae 29株であった。感受性試験はディスク法で行い、全株カルバペネム耐性であることを確認した。 Enterobacter cloacae complex株は48株全株がblaIMP-1遺伝子を保有しており、46株で fosA遺伝子を保有していた。Klebsiella pnuemoniae株は、24株がIMP-1を保有していた。fosA遺伝子は全29株で保有が確認された。 Enterobacter cloacae complex株の中で2株,ホスホマイシンディスク試験で阻止円内に発育する株を2株認めた。それぞれ感性株である親株とホスホマイシン耐性娘株における主要なホスホマイシン耐性遺伝子の比較を行った。GlpR, ptsI, cysA, cpxA, cpxR,fosA, MurAの配列は同一だった。ただ、UhpTとその周辺の欠損を認め、糖質利用機能解析でも輸送系の機能低下を示唆する所見を認めた。ホスカルネットを利用したfosAの機能解析では両株の差異は認められなかった。今後はプラスミド抽出、クローニングを行い、ホスホマイシン耐性と関与が予測される遺伝子の解析を行っていく予定である。
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