研究課題/領域番号 |
19K17945
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
齊藤 慎二 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (80787200)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 迅速診断法 / モノクローナル抗体 / IgA |
研究実績の概要 |
イムノクロマト法やELISA法は抗原抗体反応を利用した広く使用されている検査系である。これらの方法は基本的に使用する抗体の質により、検査系の感度が規定される。しかしながらCOVID-19のような新たな感染症が現れた時などのような緊急時に質の高い抗体を短時間で準備することは難しい。そのため、抗体の質と独立した多くの感度増強法が開発されている。 申請者が開発した「抗体の抗原結合部位に依存しない抗体の活性増強法」はヒトのIgA抗体で多量体を作製する技術である。この方法は抗体の抗原結合部位に依存せず抗体の活性を増強することができる、また他の感度増強法である蛍光検出法などと組み合わせることで相加的に感度の増強を行うことも理論上可能である。 多くの既存の抗原抗体反応を利用した検査法はIgG抗体を利用しているので、シームレスに既存検査法に導入できるようにするため、ヒトのIgA抗体の多量体化技術を用いてIgG抗体を多量体化する方法の検討を行った。 昨年度までの結果に基づきマウスIgGとヒト又はマウスIgAの一部を融合した新たなデザインのキメラコンストラクトを4種類作製した。その中でマウスIgGとヒトIgA2の一部を融合したキメラコンストラクトが、HPLCによる解析によって多量体の作製効率が最も良いことが示された。 来年度は今年度作製した多量体抗体を用いて、実際にELISA系を構築し、多量体化による検出系の感度増強効果を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国立感染症研究所の職員という職務上、2019年末に発生した新型コロナウイルス対策に従事する必要が生じ、2021年度は研究を実施できる時間がほとんど無かったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作製したマウスIgGとヒトIgA2とのキメラコンストラクトにおいて、多量体を誘導できることを確認できた。 来年度は今年度作製した多量体抗体を用いて、実際にELISA系を構築し、多量体化による検出系の感度増強効果を検討する予定である。 また、実験の結果次第では論文化を行い、社会へ知識の還元を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
国立感染症研究所の職員という職務上、2019年末に発生した新型コロナウイルス対策に従事する必要が生じ、2021年度は研究を実施できる時間がほとんど無かった、そのため当該年度に実施した実験については既に所用する試薬や消耗品、実験機器等を使用するだけで問題なかった。 COVID-19の流行状況にもよるが、次年度は実験を積極的に行う予定である。望ましい結果が出た場合、学術集会も開催される方向と考えられるので、学会発表を実施したい。また、論文化を通じて社会へ知識の還元等を行えるようにしたい。
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