研究実績の概要 |
経鼻不活化インフルエンザワクチンおよび注射型不活化インフルエンザワクチンの接種者由来形質芽細胞から抽出した抗体遺伝子をもとに作製したモノクローナルIgG抗体の、インフルエンザウイルス抗原であるヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)への結合活性をELISAにより評価した。その結果、経鼻ワクチン接種群と皮下ワクチン接種群それぞれにおいて誘導された抗体群間で、HAへの結合活性プロファイルに違いが認められることが明らかとなった。以上の研究結果は第23回日本ワクチン学会学術集会(2020年12月1日、東京都、2-1-04)において発表を行った。 また、経鼻ワクチンで誘導された抗HA抗体クローンを、粘膜上に多く存在しているIgA多量体型にした場合の抗ウイルス活性を評価し、論文として発表した(Sano et al., PloS one, 2021) 上記のスクリーニング実験の結果、HAへの結合活性が認められた抗体クローンのうち代表的なものについては、IgG抗体、単量体型・多量体型IgA抗体を作製し、HI(Hemagglutination Inhibition)試験およびウイルス中和試験を実施し、抗体のより詳細な機能解析を行った。 今後は、抗NA抗体のより詳細な機能解析を行い、また、皮下及び経鼻インフルエンザワクチン接種者の末梢血単核球検体から抽出したRNAを用いた抗体遺伝子レパトア解析を行うことで、2種類のワクチンによって誘導された抗体集団の機能的特徴の違いについて明らかにしていく予定である。
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