研究実績の概要 |
I型インターフェロン受容体1(IFNaR1)欠損マウスにおいて、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスのN、GPC、N+GPC遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスLC16m8株(m8-SFTS)がワクチンとしての効果を示したが、どのような機序によって防御効果を示しているのかは明らかではない。本研究ではCD8陽性細胞を除去し、細胞性免疫の影響を検証した。まず、予備実験として、IFNaR1欠損マウスにCD8抗体を投与し、CD8陽性細胞が抑制されるか調べた。1群3匹のIFNaR1欠損マウスにCD8抗体とコントロール抗体をそれぞれ投与し、投与後1, 2, 3日目に脾細胞を採取した。この細胞をFACSで解析したところ、CD8抗体投与群でCD8陽性細胞が抑制されていることが明らかとなった。次に、IFNaR1欠損マウスにN発現、GPC発現、N+GPC発現m8-SFTSを2週間隔で2回接種し、最終接種から2週間後にSFTSウイルスを接種した。この際、ウイルス接種日をday0とすると、day-1, day2, day5, day8にCD8抗体とコントロール抗体を投与した。その結果、全てのワクチンで、CD8抗体投与群とコントロール抗体投与群に差がみられなかった。このことから、CD8陽性細胞がワクチンの効果に影響を与えていないことが明らかとなった。
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