研究課題/領域番号 |
19K17948
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
加藤 博史 国立感染症研究所, 実地疫学研究センター, 研究員 (80827890)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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キーワード | 重症熱性血小板減少症候群 / ワクチン |
研究実績の概要 |
I型インターフェロン受容体1(IFNaR1)欠損マウスにおいて、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスのN、GPC、N+GPC遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルスLC16m8株(m8-SFTS)がワクチンとしての効果を示したが、どのような機序によって防御効果を示しているのかは明らかではない。本研究ではまず、CD8抗体を投与することで、CD8陽性細胞を除去し、細胞性免疫の影響を検証した。IFNaR1欠損マウスにN発現、GPC発現、N+GPC発現m8-SFTSを2週間隔で2回接種し、最終接種から2週間後にSFTSウイルスを接種した。その後CD8抗体を接種した。その結果、全てのワクチンで、CD8抗体投与群とコントロール抗体投与群に差がみられなかった。このことから、CD8陽性細胞がワクチンの効果に影響を与えていないことが明らかとなった。次に、液性免疫の影響を検証した。上記の3種類のワクチンと空ベクターをIFNaR1欠損マウスに2回接種し、4週間後に血清を採取し、群ごとにプールし、非働動化した。その血清をSFTSウイルス接種日とその前後の計3回投与し、経時的に体重と転帰を観察した。この結果、コントロール群に比べてm8-N+GPC免疫マウス血清投与群免疫群は有意に体重減少が抑制されていた。m8-Nとm8-GPCにおいても体重減少が抑制される傾向にあったが、統計学的に有意ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IFNaR1欠損マウスの繁殖の遅れ、CD8陽性細胞除去がワクチンの効果に影響を及ぼさなかったことから、当初予定になかった液性免疫に関わる実験を追加した。
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今後の研究の推進方策 |
CD8抗体とともにCD4抗体を接種して、CD4陽性細胞を除去した場合に、ワクチンの効果がどのように現れるか検討する。また、バイオインフォマティクスツールによって、CTLエピトープを予測し、感染防御抗原を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外留学により研究を中断し渡米した。2022年8月に帰国し、本研究を再開した。帰国後に動物実験等を行うにあたり動物実験申請書の作成やマウスの繁殖を行ったことから実験開始が遅くなった。このことから実験に関する物品の購入費が通常に比べて少なかった。次年度は、年度明けから実験を開始できる予定であり、予定通り研究費を使用する。余剰分に関しても、成果発表のための雑誌投稿費、学会発表に関する費用に使用する。
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