研究課題
若手研究
まず興味深いことに、肝インスリン受容体を欠損させることにともない、体重の増加が認められた。その機序として、摂食量の増加、および、酸素消費量、すなわち個体レベルのエネルギー消費の低下が認められた。詳細な解析を行うと、褐色脂肪組織において熱産生が低下していることが示唆され、個体レベルのエネルギー消費低下の要因になっているものと考えられた。さらに、褐色脂肪組織を支配する交感神経活性の低下、およびその交感神経のプレモーターニューロンである延髄吻側縫線核の活動低下が明らかになった。
糖尿病
糖尿病は肥満の合併が多いが、根治療法が存在せず、特に食行動変容を伴う場合は、コントロールが非常に困難である。本研究で発見した新規の肝臓-脳-褐色脂肪組織連関は、糖尿病や肥満の病態の理解を深め、食欲や食行動異常の制御を可能とする新たな治療法の創出に発展する可能性があり、創薬の観点でも創造的である。