研究実績の概要 |
①LC MSMS法の測定系の最適化と確立 LC/MS/MS (Q-Exactive Plus, Thermo Fisher Scientific) を用いて、ステロイドを高感度に分析するための分析条件の最適化を行った。ステロイドの分離に適したカラムを検討し結果、疎水性化合物の僅かな立体構造の違いによって分離することができるInertsil ODS-Pが、類似構造を持つステロイド化合物の分離に適することがわかった。LCの設定として、移動相Aには0.1%ギ酸水、Bにはアセトニトリルを用い、カラム温度は50℃で行った。流速は0.1~0.5mL/minで検討した結果、0.5 mL/minのときが最も感度が高く、分析時間が短かった。LCのグラジエント条件は移動相Bを 0-0.5分は0%、0.5-0.6分で2-30%、0.6-3.5分は30%、3.5-12.5分で30-98%、12.5-17.5分は98%とした。上記の分析条件でステロイドの混合試料を分析し、0.001 μg/dLでも検出可能な測定系が確立した。 ②食塩感受性高血圧と腸内細菌叢とミネラロコルチコイドとの関連 2017年度の志賀町研究の健診事業に参加した242名を対象に、腸内細菌叢の構成と高血圧有病率や患者背景を比較した。結果、Blautia属、Bifidobacterium属などの構成比の低い特定の腸内細菌叢において、低食塩摂取群でも高食塩摂取群と同等の高血圧有病率を示す群が存在し、特にB. bifidumやB. Breveとの関連が強い傾向にあり、これらの構成比と高血圧有病率には、IL-17やTNFαなどのサイトカインやレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)との関与が示唆された。
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