研究課題/領域番号 |
19K17962
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 顕 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90838806)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / ゲノム / 機械学習 |
研究実績の概要 |
当該年度には、大規模ゲノム解析を実施し、2型糖尿病に関連する遺伝子を選定した。バリアントの選定については条件を柔軟に設定し、さまざまな選定パターンを実施した。公共データベースに登録されている2500人分のゲノムデータとバリアント情報を活用し、対象集団のジェノタイプデータを推定することで、全ゲノム上のバリアントのカバー率を向上させた。このカバー率の向上により層別化や分類の精度が格段に向上した。 各種アルゴリズムによる解析を実施し、層別化や分類について新たな洞察を得た。まず、疾患の層別化については、従来より知られている疫学的な層別化に双肩しうる性能を有する可能性が明らかとなった。一方、分類についてはこれまで異質性、多様性が指摘されていたが、明らかな分類法は確立されていなかった。今年度の研究において、ゲノムデータに対して、これまで応用されることが稀であったアルゴリズム・手法を積極的に応用することにより、分類に関する新たな知見を得た。各種臨床データと各分類との関連を網羅的かつ定量的に評価し、特徴的な関連を同定した。また、オンライン上に公開されている公共データベースを用いて、分類の分子生物学的特徴を評価したところ、各分類に有意に関連する事象を同定することができ、各分類の分子生物学的特徴づけを行うことに成功した。 上記結果は、2型糖尿病の病態の理解を促進し、2型糖尿病の診療改善に寄与することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度には研究計画に記載した予定通り、大規模なゲノム解析を実施し、層別化と分類について知見を得ることができた。これは当初の研究計画に記載した予定を上回る成果であり、当初の計画以上に進展していると評価することが可能である。特に、層別化については疫学的な層別化に比肩しうる性能を有することがわかるなど、期待の持てる結果が出てきており、今後の研究の推進に資する結果となっている。また、分類に関してもこれまで明らかではなかった分類方法が見出されており、今後深く追及することにより更なる有用な知見が得られることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
層別化と分類について、当該年度には順調に進捗が得られたが、2020年度はこの方向性をさらに推進する。まず、層別化については、様々なデータと突合することにより層別化が疾患の有無のみならず、その他の疾患に関連する臨床条件や臨床データなどに関連を有するか否かを、定量的かつ網羅的に評価する予定である。さらに、分類については解析対象となる臨床データをさらに拡充し、臨床データによる分類の特徴についてさらに網羅的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの効率的な活用により当該年度の物品費や外注費が予想外に低く抑えることができた。特に、ゲノムデータについては公共データベースに登録されている既存のデータにより遂行できる研究内容が大幅に拡充されたため、当該年度の予算の効率的な利用につながった。この度生じた次年度使用額については、新規ゲノムデータの取得と、データ解析環境の構築のために活用する予定である。
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