研究課題/領域番号 |
19K17965
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
西庄 俊彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40444723)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ビスホスホネート / PET-CT / 骨巨細胞腫 / 骨転移 |
研究実績の概要 |
骨吸収抑制薬であるビスホスホネートは転移性骨腫瘍や骨粗鬆症に広く使用されている。また近年では強いエビデンスはないものの抗腫瘍効果の報告も散見される。一方、顎骨壊死や大腿骨非定型骨折など全身投与による合併症も未だ解決には至っていない。我々は骨巨細胞腫に対するビスホスホネート局所投与の臨床研究から、ビスホスホネートの局所治療が可能となるdrug delivery systemを開発することで、ビスホスホネートの効果を強く発揮し、副作用を少なくできるような治療方法の開発を目指し、薬物動態の解析を引き続き行っている。 動物PET-CTを用いたヒスホスホネートの薬物動態を行う目的で、ビスホスホネートを放射線同位元素でラベルシリング化することを試み、前回報告のようにホルムアルデヒドを用いる方法で[11C]アレンドロネートの合成を確認できた。再度条件を検討し、メチル化反応温度を80度から90度に変更することで分取トレンドのピークを再現できた。上記によって得られた11C-アレンドロネートを用いてマウスへの投与を行った。あらかじめ5週・メスのddyマウスをイソフルランでの麻酔下、左腓骨を直視下にハサミで骨折させ、右は筋肉切開のみ行い対照群とした。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行わなかった場合には肝臓や甲状腺への非特異的な集積があった。しかしHPLCによる生成をおこなうことで非特異的な集積がなくなり、骨折部を中心として骨幹端部などの骨代謝が盛んなところへの集積が認められ、ビスホスホネートの薬物動態として矛盾しないと考えられた。 乳がん細胞を用いてMDA-MB231を4週齢メスのヌードマウスの脛骨骨髄に注入したところ、約3週で骨病変が認められた。一方、骨巨細胞腫のprimary cultureでも同様の処置を行ったが、骨溶解像は得られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[11C]アレンドロネート合成は何度か成功しているものの、純度にいまだ問題がある。標品の作成において、HPLC分離条件が定まっていない。また動物用PET-CTが故障したこともあり、進行は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
骨転移マウスモデルは従来法どおり確立できたが、骨巨細胞腫でのマウスモデルは困難であった。今後、in vivoでは骨転移モデルを使用する。骨巨細胞腫はprimary cell cultureにてビスホスホネートの影響を検討する。 PET-CTでのBPは再度条件を検討しながら、最適で手順の少ない方法を模索していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
消耗品が少なかったこと、動物用PET-CTの故障で実験が進まなかったこと、COVID-19の影響で出張が少なくなり、動物実験の制限があったことで予定よりも使用額が少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は薬物作成、動物実験、また学会などに経費を使用する予定である。可能であれば論文投稿に進む計画である。
|