研究課題/領域番号 |
19K17970
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
成定 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20800965)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 糖尿病予防 / 機械学習 / 空腹時血糖異常(IFG) / スクリーニング / 隠れマルコフモデル / 健康診断 / 境界型糖尿病 / 脂肪肝 |
研究実績の概要 |
糖尿病高リスク状態の定義に関して、健診標準項目である空腹時血糖を用いた糖尿病高リスク状態(impaired fasting glucose: IFG)の基準値は、日本などが110㎎/dl-、アメリカが100㎎/dl-と統一されていない。本研究では多様な時系列データの状態推定に用いられる隠れマルコフモデルを健診データに適用して、糖尿病高リスク状態の推定を行うことを目的とした。 初年度次年度は、「正常状態(潜在状態)⇔高リスク状態(潜在状態)→糖尿病」の3状態からなる隠れマルコフモデルを健診の空腹時血糖データに適応して糖尿病発症モデルを構築し、以下の2点の知見を得た。 ①高リスク状態の分布の平均が約110㎎/dlで、高リスク状態の基準値として110㎎/dlは高すぎる。②高リスク状態→正常状態の遷移確率が0.2%/年で、いったん高リスク状態になると正常状態に戻らないことが示された。高リスク状態への継続的な介入が必要なことや、さらに遡って正常から高リスク状態への移行を予防するための介入(ポピュレーションアプローチ)が重要になってくることが考えられた。この結果と知見は学会で発表を行い、論文にまとめ、投稿中である。また糖尿病のリスクが一様ではないと考え、脂肪肝について検討し論文化した(Narisada 2021)。 今年度(2021年度)は、以下の3点を計画し、取り組んだ。 ①上記で用いたデータが5年と比較的短かったため、長期データを用いた検証が必要と考え、10年のデータを入手し、分析中である。②高リスクが正常化しないという知見を、インスリン値の動きなども考慮するため、インスリン測定を計画したが、新型コロナウイルス感染拡大にも影響され連携がスムーズにいかず、データ入手ができず進まなかった。③データではそもそも特定保健指導介入が行われているため、その影響を分析推定し、論文化し投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究当初の目標である健診データセットに隠れマルコフモデルを適用しモデル構築することは達成した。その病態的な基礎づけをするため追加データの分析を検討しているが、コロナ禍で連携がスムーズにいかない等あり、進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
入手した長期(10年)のデータセットでモデル構築を進める。さらに構築したモデルから得られる知見としてもっとも興味深い点である「高リスクが正常化しない」という点については、追加データを用いた検証(具体的にはインスリンデータも追加した検討)が必要と考えている。インスリンデータの入手の努力を続ける。
|
次年度使用額が生じた理由 |
高リスクから正常に戻らないことの病態的検討をするため、インスリンデータ測定を計画していたが、2020年同様、新型コロナウイルス拡大に伴う健診業務停滞のため、計画が進まなかった。今年度(2022年)、代替検討含め、計画遂行に向けて準備中である。
|