本研究では、隠れマルコフモデルを労働者の健康診断データに適用して、糖尿病発症モデルを構築した。モデルは、未病(健康)の状態、ハイリスク状態、糖尿病の状態を決め、状態から状態へ、毎年行き来(遷移)があるものとした。モデル構築の結果、「ハイリスク状態」の推定分布(104.6±7.1 mg/dl)から、2型糖尿病のハイリスクを110 mg/dL としているWHOのカットオフポイントは高すぎる可能性が示唆された。さらに、「ハイリスク状態」から「正常状態」への移行確率の推定値が0.01%と非常に低いことから、「ハイリスク状態」に至った者は「正常状態」に戻ることはほとんどない可能性が示唆された。
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