研究実績の概要 |
今年度は昨年度の推進方策の通り、原発性アルドステロン症の副腎手術検体における電位依存性 Ca チャネル(CaV1.2, CaV1.3)の発現を免疫組織化学的に定量的に検討したところ、CaV1.3, CaV1.2 共に副腎組織において副腎周囲脂肪組織よりも発現量が高い結果が得られ、imaging mass spectrometry 及び、質量分析の結果とも一致した。更に Ca チャネル拮抗薬の副腎皮質細胞に対するステロイド合成に与える影響を検討するために、副腎皮質癌培養細胞を用いて、Ca チャネル拮抗薬であるアムロジピンを濃度勾配を付けて添加したところ、HSD3B1/HSD3B2 の発現低下が得られ、免疫染色で得られた結果と一致した。また、CYP11B2(アルドステロン合成酵素)においても発現の低下が見られ、アルドステロン合成に対して直接的な作用を及ぼしている可能性が示唆された。ただし、CYP11B2については原発性アルドステロン症の副腎組織において有意な差は得られておらず、個体差の影響や分子制御機構が副腎皮質癌培養細胞株とは異なるものと考えられた。
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