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2019 年度 実施状況報告書

甲状腺ホルモンを介した慢性腎臓病におけるオートファジー制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K17981
研究機関浜松医科大学

研究代表者

大場 健司  浜松医科大学, 医学教育推進センター, 特任講師 (70649392)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードオートファジー / 甲状腺ホルモン
研究実績の概要

甲状腺ホルモンは全身の代謝系で重要な役割を果たし、近年ではオートファジー(細胞内蛋白質を分解するメカニズムの1つ)との関わりについて精力的な解析がなされている。これまで甲状腺ホルモンは肝臓、骨格筋、褐色脂肪においてオードファジーの惹起を介して臓器にとって有益な作用を発揮することが報告されており、本研究では腎臓における類似の作用の証明を目的とし、治療法が十分に確立されていない慢性腎臓病の新たな治療戦略につながる可能性を期待する。
まず、甲状腺ホルモンの1つであるトリヨードサイロニン(T3)を成獣マウスに14日間投与して、マウス腎組織における甲状腺ホルモンによるオートファゴソーム数の変化を観察した。評価方法としてオートファゴソーム膜結合蛋白であるLC3のウエスタンブロッティングを用いた。しかしT3投与によるオートファゴソーム数の統計学的に有意な変化が検出しえなかった。
オートファゴソーム数の変化は必ずしもオートファジーの活性化を反映しないことが知られているため、オートファジーの活性化をより反映するオートファジーフラックスの評価を行った。リソソーム阻害薬を用いたLC3ターンオーバーアッセイを用いて評価したが、T3非投与とT3投与の2群において、オートファジーフラックスの有意な変化は検出しえなかった。
腎臓に負荷を与えていないマウスモデルでは、甲状腺ホルモン投与による変化が検出しえない可能性が考えられたため、高脂肪食を16週間負荷した肥満症モデルマウスを作成した。既報では腎臓におけるオートファジー活性低下が報告されていたが、我々がLC3のウエスタンブロッティングを用いた方法で評価したところ、コントロール群に比べて有意な低下が見られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

我々が用いた方法では、既報で報告された高脂肪食負荷による腎臓でのオートファジー活性低下が再現できなかった。また、肝臓・腎臓・褐色脂肪で報告されている条件を用いて甲状腺ホルモンによるオートファジーの活性化について腎臓で検討したが、有意な変化を検出しえなかった。

今後の研究の推進方策

甲状腺ホルモン投与により有意な変化が認められなかったが、臨床では甲状腺機能低下症と腎機能低下についての複数の報告があるため、抗甲状腺薬により甲状腺ホルモンを低下させたモデルでの検討を試みる。
慢性腎臓病のマウスモデルとしては、高脂肪食以外の方法としてストレプトゾドシン投与による膵β細胞の破壊(糖尿病モデルマウス)あるいは片腎摘出モデルなどが報告されているため、それらの方法を用いた検討を試みる。
マウスでの実験は結果を得るまでに時間を要するため、腎由来の細胞株を用いた実験も開始する。

次年度使用額が生じた理由

予想していた実験結果が得られなかったことにより、実験の遅れが生じたため次年度使用額が発生した。次年度中に、当初よりも実験を行うことにより使用を予定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 腎臓における甲状腺ホルモン応答遺伝子の網羅的な探索と制御機構の解明2019

    • 著者名/発表者名
      大場健司
    • 学会等名
      第62回日本甲状腺学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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