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2022 年度 実施状況報告書

甲状腺ホルモンを介した慢性腎臓病におけるオートファジー制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K17981
研究機関浜松医科大学

研究代表者

大場 健司  浜松医科大学, 医学教育推進センター, 特任講師 (70649392)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードオートファジー / 甲状腺
研究実績の概要

これまで甲状腺ホルモンの1つであるトリヨードサイロニン(T3)を投与した野生型成獣マウス、あるいは出生後から腎臓で慢性的な甲状腺機能亢進状態を呈することが報告されているMct8欠損マウスを用いて検討を重ねたが、オートファジーの指標(LC3-IIあるいはp62の発現等)の変化に関して、統計学的な有意差を検出できなかった。腎由来の細胞株を用いたin vitroの検討も行ったが、予想していた実験結果が得られず、内因性のT3受容体が機能していない可能性などが推察された。
一方、甲状腺ホルモンと腎機能に関する既報の臨床研究に関して、傾向スコア分析等を用いて交絡因子を十分に評価した検討が少ない背景があり、自験例での解析を実施した。健診受診者のデーターベースを用い、血中甲状腺ホルモンの1つである遊離サイロキシン(FT4)およびFT4と逆相関する甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度について、腎機能との関係を多変量解析および傾向スコア分析を用いて検討した。年齢性別、eGFR、服薬情報などを確認しえた延べ数千検体を解析したところ、FT4に対する独立した影響因子として、これまで報告されてきた項目に加え、経口抗凝固薬の内服状態が新たに検出された。文献的考察の結果、経口抗凝固薬により惹起される微小なフィブリンの干渉により、FT4が高値を呈している可能性が推察された。一方、抗血小板薬はFT4に対する独立した影響因子に含まれず、血中TSHに対する独立した影響因子として、経口抗凝固薬も抗血小板薬も含まれなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初予定した結果が得られていないため。

今後の研究の推進方策

甲状腺ホルモン作用の検討方法は、甲状腺機能亢進状態と甲状腺機能低下状態のモデルに大別される。前者では予想された結果が得られなかったことから、後者の実験モデルを用いた検討を継続する。
抗凝固薬の内服は微小な残余フィブリンによって種々のイムノアッセイに干渉することが報告されているが、甲状腺機能検査を含め、血中ホルモン濃度への影響に関する知見は極めて乏しい。今後、血中内分泌ホルモン濃度へのフィブリン干渉の実態、あるいはそのメカニズムなどについても解明を予定する。

次年度使用額が生じた理由

予想していた実験結果が得られなかったことにより、実験の遅れが生じたため次年度使用額が発生した。当初の予定よりも次年度に行うべき実験が多くなるため、使用を予定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 経口抗凝固薬による血中遊離サイロキシン値上昇の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      大場健司、髙瀨浩之、徳丸光彬、竹下啓、黒田豪、橋本卓也、釣谷大輔、松下明生、岩城孝行、前川真人、佐々木茂和
    • 学会等名
      第65回 日本甲状腺学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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