研究課題
Trk-fused gene (TFG) は小胞体からGolgi体へのCOPII小胞輸送に重要であることが知られている蛋白であり、またその遺伝子異常がいくつかの神経変性疾患の原因となることが明らかとなっている。そのうちの1つである近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー (HMSN-P) では糖尿病・脂質異常症の合併が多いことが臨床的に知られており、我々はTFGの代謝制御における役割に着目し、各臓器特異的TFG KOマウスの作製し、その解析を進めている。2021年度はこれまでに引き続き脂肪細胞および肝細胞におけるTFGの機能解明を試みた。脂肪細胞においてin vivoではTFG KOに伴いPPARγ活性の顕著な低下がみられるが、3T3-L1細胞同様、TFG floxedマウス皮下脂肪のstromal-vascular fraction (SVF) から分化させたprimary adipocyteにおいてCre発現アデノ随伴ウイルスベクターによりTFGを欠失させてもin vivoで認められるほどのPPARγ活性の低下は認められなかった。in vivoにおけるadipocyteとSVFから分化させたprimary adipocyteの大きな相違点として細胞径が挙げられる。線虫においてTFGのorthologであるTFG-1がcell sizeを規定するという過去の報告 (Curr Biol. 2008) を参考にすると、細胞径が大きいin vivo adipocyteでのみTFG欠失によりviabilityの低下、PPARγ活性の低下を来す可能性が考えられ、TFG欠失に伴うadipocyte apoptosisの有無とともに、論文化に向け現在検討を行っている。肝細胞においてはTFG欠失により絶食時のPPARα活性の顕著な低下が認められ、現在その分子機序の解明に着手している。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件)
Sci Rep
巻: 12 ページ: 1966
10.1038/s41598-022-05884-7
巻: 11 ページ: 18581
10.1038/s41598-021-97972-3
Biomedicines
巻: 9 ページ: 1052
10.3390/biomedicines9081052
Cells
巻: 10 ページ: 1230
10.3390/cells10051230
Int J Mol Sci
巻: 22 ページ: 4040
10.3390/ijms22084040