研究課題/領域番号 |
19K17987
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木下 康之 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90750993)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 成長ホルモン分泌不全症 / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
本研究を開始する準備として、マクセルより磁気センサー型指タッピング『Just Tap』を行うため、UB2を購入した。UB2は一般には市販されていない装置でもあり、最終的な納品は2019年12月となった。それまでにiPadを用いた『Just Touch』『Trail Making Test』を行うためのiPadの準備と必要なソフトの導入、磁気センサー型指タッピングのデータ収集・解析用のパソコンとそのソフトの準備を完了した。また、これまでの広島大学脳神経外科と広島大学工学研究科との間で行ってきた共同研究『脳神経疾患の病変部位と高次脳機能・神経心理学的・運動学的検査所見との関連性に関する研究』と比較検討ができるよう、広島大学工学研究科と継続的にカンファレンスを行い、最終的に成長ホルモン補充療法に関連する高次脳機能の評価項目として、MMSE・HDS-R・HADs・JPSS・AS・Just Tap・Just Touch・Trail Making Testのデータを収集することに決定した。 2020年1月よりデータ収集を開始し、病棟・外来にて上記データを収集した。現時点で2症例のデータの収集を開始し、時間的に患者さんに負担をかけていることは否めないが、特に問題なくデータを収集できている。患者さんの意見として、成長ホルモン補充後に検査値がよくなっているか楽しみと言ってくれる方もいた。数値として高次脳機能の改善を証明することができれば、患者さんの治療に対するモチベーションを上げることにも貢献できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究を開始するための設備・環境の調整は完了し、データ収集を開始することができた。しかし、データ収集を本格的に開始する矢先に、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、2019年度末より本研究の対象となる間脳下垂体腫瘍患者の経鼻手術は全国的に延期されることになった。この対応は日本脳神経外科学会と日本耳鼻咽喉科学会より出された勧告に基づくもので、広島大学でも予定していた経鼻手術を全面的に延期している。新型コロナウイルスの感染拡大についてめどがたたない現状において、研究対象となる新たな患者さんを得ることができず、本研究も中断を余儀なくされている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は着実にデータを集積するのみであるが、上記の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、新規の対象症例が得られないのが現状である。間脳下垂体腫瘍に対する経鼻手術が再開できる状況になり次第、データ収集を開始する予定である。また、すでに手術が済み、外来で新たに成長ホルモン補充療法を開始する患者さんがおり、それらの患者さんに対しては成長ホルモン補充療法前からのデータ収集も開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はデータ収集が本格的に開始できず、人件費・謝金が余りました。 次年度も新型コロナウイルスの影響で間脳下垂体手術が延期となり、データ収集は遅れる見込みです。人件費・謝金は減額し、下垂体腺腫細胞の培養関連の器機購入に使用する予定です。
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