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2019 年度 実施状況報告書

褐色脂肪細胞の化学誘導技術を用いた糖尿病細胞治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17990
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

小谷 晋一郎  京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (30783964)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード糖尿病 / 移植・再生医療
研究実績の概要

(1)小分子化合物添加培養により誘導した褐色脂肪細胞(chemically induced brown adipocytes:cBA)のβアドレナリン受容体アゴニスト刺激に対する応答の評価. これまでに決定した条件でヒト線維芽細胞を誘導培養してcBAを作出し、非誘導細胞およびcBAにイソプロテレノールまたはフォルスコリンを添加して培養した後、UCP-1遺伝子発現をリアルタイムRT-PCR解析に供した。その結果、いずれを添加して培養したcBAも、非添加群に比べてUCP-1遺伝子発現が有意に上昇した。また、非誘導群においてはUCP-1遺伝子発現の変化はみられなかった。これらの結果から、cBAが交感神経刺激に応答して活性化されることが示唆された。
(2)cBAのグルコース取込み能の評価. 非誘導細胞およびcBAを高グルコースDMEM培地(10%血清)で培養し、WST法により培地中グルコース量の定量を行った。その結果、cBAの培養上清に含まれるグルコース量は非誘導のものに比べて減少していた。この結果から、cBAはより高いグルコース取込み能を有することが分かった。
(3)cBAの代謝能評価. 非誘導細胞およびcBAにATP合成酵素阻害剤、酸化的リン酸化脱共役剤、ミトコンドリア複合体阻害剤を順に添加し、細胞外フラックスアナライザーを用いてミトコンドリア呼吸およびプロトンリークの解析を行った。その結果、cBAは非誘導細胞に比べて、酸化的リン酸化脱共役剤の添加により酸素消費速度が有意に上昇した。さらに、ATP合成酵素阻害剤の添加後、およびミトコンドリア複合体阻害剤の添加後の酸素消費速度の差からプロトンリークを示すことがわかった。これらの結果から、cBAは高いミトコンドリア呼吸能を有し、また、脱共役を介してエネルギー散逸を行うことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小分子化合物を用いて誘導した褐色脂肪細胞の機能についての評価を行い、βアドレナリン受容体アゴニスト刺激によりUCP-1遺伝子発現が活性化されること、線維芽細胞に比べて高いグルコース取込み能、酸素消費量、プロトンリークを有することを確かめた。作出した細胞のマウスへの移植条件、評価方法については検討を進めている。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展にしていると考える。

今後の研究の推進方策

作出した細胞のマウスへの移植条件の検討、移植後機能評価を行うとともに、褐色脂肪分化に関わる転写因子をノックダウンあるいはノックアウトし、小分子化合物による線維芽細胞から褐色脂肪細胞への転換メカニズムの解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和元年3月に予定していた実験の一部について、新型コロナウイルス感染拡大にともない試薬の供給が減少したため、4月以降に延期した。そのため令和元年度の研究費の一部を繰り越して、令和2年度に使用することとした。

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公開日: 2021-01-27  

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