研究課題/領域番号 |
19K18003
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米谷 充弘 金沢大学, 附属病院, 助教 (80613752)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機能性副腎腫瘍 / 遺伝子解析 / DNAメチル化解析 |
研究実績の概要 |
機能性副腎腫瘍で最も多い原因である原発性アルドステロン症において、アルドステロン産生腺腫の組織を用いて、ゲノム解析およびエピゲノム解析を実施した。16例のアルドステロン産生腺腫の病理検体を用いて、これまで報告されている既知の遺伝子異常の解析、副腎皮質ホルモン合成酵素のエピゲノム解析、および臨床データとホルモン産生能の関連を解析し英文誌に報告した。アルドステロン産生腺腫のコルチゾール過剰産生の合併の有無により、コルチゾール合成に重要な11β-水酸化酵素CYP11B1のDNAメチル化状態に有意な差が見られた。アルドステロン合成酵素CYP11B2のDNAメチル化状態に有意な差は認めず、遺伝子異常との関連も見られなかった。この研究では16例と少数の解析ではあったが、2例で既知の遺伝子異常を見出せなかった。このように既知の遺伝子に異常を見出せない症例に関して、今後エクソーム解析を実施して、新規の遺伝子変異の検索を実施する。また、今後CYP11B1およびB2以外のゲノムワイド網羅的なDNAメチル化解析を考慮する。さらに本研究では、今後臨床情報や画像情報も特徴量として組み込み、深層学習を用いた解析を検討する予定である。今年度、原発性アルドステロン症(PA)に関する臨床情報と画像情報に関して解析を実施し、それらをまとめて、英文誌に報告した。この研究では、PA 362症例をCT所見に基づいて片側性病変または両側性病変に分類した。その後、副腎静脈サンプリング(AVS)の結果に基づく局在診断を行った。AVSで片側性と診断され手術が施行された群に対して、術前後の臨床的特徴(年齢、性別、BMI、降圧薬数、収縮期血圧、拡張期血圧、血漿レニン活性、血漿アルドステロン濃度、血漿アルドステロン/レニン比、血清K値、K製剤の有無)と手術による治療効果を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度までにすでに確立しているゲノム解析およびエピゲノム解析の実施法としては、既知の遺伝子に対するサンガーシークエンス法およびパイロシークエンス法があるが、本研究で新たに利用する次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析およびマイクロアレイ法を用いた解析に関しては、2019年度中に確立できなかったため、2020年度以降に予定する。
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今後の研究の推進方策 |
解析対象とする機能性副腎腫瘍の遺伝子抽出をさらに進めていき、サンガーシークエンス法およびパイロシークエンス法で解析を進める。また次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析およびマイクロアレイ法を用いた解析を早期に確立する、前者に関してはすでに確立できつつある。今年度の研究を受け、既知の遺伝子に異常を見出せない症例に関して、今後エクソーム解析を実施して、新規の遺伝子変異の検索を実施する。また、今後CYP11B1およびB2以外のゲノムワイド網羅的なDNAメチル化解析を考慮する。さらに本研究では、今後臨床情報や画像情報も特徴量として組み込み、深層学習を用いた解析を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度までにすでに確立しているゲノム解析およびエピゲノム解析の実施法としては、既知の遺伝子に対するサンガーシークエンス法およびパイロシークエンス法がある。2019年度に実施を目標としていた次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析および外部委託による実施を予定していたマイクロアレイ法を用いた解析は、残念ながら2019年度中に確立することができなかった。これらに関しては、約150万円程度の費用を想定しており、2020年度以降に確立し、解析を実施する。
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