研究課題
本研究では機能性副腎腫瘍におけるステロイドホルモン過剰産生および腫瘍発生・進展機構に関して、エピジェネティク制御に着目して明らかにする。さらにゲノム・エピゲノム解析と臨床情報、画像情報を統合して、新たな機能性・良悪性の診断法の確立につなげる。2020年度はKCNJ5やPRKACAといった機能性副腎腫瘍に高頻度に変異が見られる遺伝子をターゲットとして、次世代シークエンサーを用いる解析パネルを確立するに至った。今後、同手法を用いて副腎腫瘍における遺伝子解析を随時実施していく予定である。またエピゲノム解析に関しては、パイロシークエンス法を用いた手法を確立しており、副腎腫瘍細胞株であるH295R細胞を用いて副腎皮質ホルモンの一つであるアルドステロンの合成酵素であるCYP11B2がカリウム負荷によりDNA脱メチル化が誘導されることを報告した。これは、副腎腫瘍においても臨床的特徴や遺伝子異常がDNAメチル化に関与している可能性を示唆する結果である。また臨床検体として、少数例ではあるが、悪性である副腎癌においても原発性と転移性では異なるDNAメチル化状態が見られた。また臨床情報や画像情報に着目した研究も実施し、副腎腫瘍を有する症例で特異的な症例に関して国際誌に症例報告を行った。具体的には機能性副腎腫瘍の代表的疾患である原発性アルドステロン症における臨床的特徴に関して、薬剤に対する影響および副甲状腺ホルモンとの関連に着目して各々データをまとめて国際誌に投稿した。さらに、転移性副腎癌の2例の臨床的特徴をまとめて国際誌に投稿した。後者2報に関しては、2021年度に国際誌に掲載予定である。
3: やや遅れている
2020年度は、機能性副腎腫瘍における臨床的特徴に関する解析を中心に実施して、国際誌に複数報告した。2021年度に掲載が決まっている報告もある。また遺伝子解析では次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析に関して確立に至った。今後、解析数を増やしていく予定である。マイクロアレイ法を用いたDNAメチル化の解析手法の確立が今後の課題である。
2020年度は、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析に関して解析数を増やしていく予定である。さらにマイクロアレイ法を用いたDNAメチル化解析手法を確立できるように研究を推進していく。
遺伝子解析およびDNAメチル化解析に係る費用に関して、前年度には測定系を確立できなかったために経費が生じた。今後、この費用を用いて測定系の確立に使用する予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件)
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