本研究では、GKRPのアセチル化制御による肝糖取り込み調節作用の解明を目的とする。GKRPは、肝糖取り込み酵素グルコキナーゼ(GK)活性を調節するタンパク質である。代表者は、2型糖尿病の肝糖取り込み障害にGKRPのアセチル化修飾が関与していることを明らかにしている。一方で、GKRPアセチル化酵素は同定されておらず、GKRPアセチル化制御の肝糖取り込みにおける役割とその調節メカニズムは十分に解明されていない。本研究では、GKRPアセチル化変異/GKRP脱アセチル変異ノックインマウスの糖脂質代謝の解明およびGKRPアセチル化酵素の同定を実施し、GKRPアセチル化制御による肝糖取り込み調節作用を解明する。 本年度は、GKRPアセチル化変異ノックインマウスおよびGKRP脱アセチル変異ノックインマウスの耐糖能、肝糖取り込みを検討した。8週齢時においてGKRPアセチル化変異ノックインマウスは、野生型マウスに比し、肝糖取り込みが低下し、糖負荷試験では高血糖を示した。一方、8週齢GKRP脱アセチル化変異ノックインマウスでは、野生型に比べて肝糖取り込みおよび耐糖能に変化はなかった。野生型マウスでは、12週間の高脂肪食負荷を行うことにより、GKRPをアセチル化することができる。そこでGKRP脱アセチル化変異ノックインマウスに12週間の高脂肪食負荷を行い、同様の検討を行った。高脂肪食負荷12週後において、GKRP脱アセチル化変異ノックインマウスは野生型マウスに比べて肝糖取り込みおよび耐糖能異常が改善した。今後、これらノックインマウスにおける脂質代謝の解明およびGKRPアセチル化酵素の同定を行う。
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