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2020 年度 実績報告書

ベージュ脂肪細胞におけるUCP1非依存性熱産生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18008
研究機関広島大学

研究代表者

長野 学  広島大学, 病院(医), 助教 (40838786)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードベージュ脂肪細胞 / 熱産生 / UCP1
研究実績の概要

熱産生能をもつ褐色脂肪細胞や,白色脂肪組織内に様々な環境刺激によって誘導されるベージュ脂肪細胞において,脱共役蛋白UCP1は熱産生に必須であると考えられてきた.しかし近年,ベージュ脂肪細胞において,UCP1非依存性熱産生機構として,細胞内カルシウム(以下Ca2+)回路を介した機構が報告された.しかし,Ca2+調節機構は未だ不明である.そこで我々は細胞内Ca2+の輸送に関わるイノシトール三リン酸受容体(以下IP3R)と相互作用する因子の検索を行い,IP3Rと解糖系の最終段階を制御するピルビン酸キナーゼ(以下PKM2)とが相互作用することを見出した.
ベージュ脂肪細胞では,白色脂肪細胞に比べてPKM2の活性が高かった.またベージュ脂肪細胞でPKM2をsiRNAで欠失させRNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行うと,野生型に比べCa2+代謝関連遺伝子群の発現が低下することがわかった.さらにPKM2はベージュ脂肪細胞内で,IP3RだけでなくミトコンドリアのCa2+輸送に関わるVDAC1とも相互作用していた.PKM2の活性化薬TEPP-46を投与すると,ミトコンドリア膜電位の亢進とCa2+の上昇を認めた.
また,UCP1に依存しない熱産生経路について,クレアチン余剰回路も報告されている.褐色脂肪細胞の分化調節因子であるPRDM16/EHMT1/MATII複合体の研究を進めていく上で,MATIIがクレアチンの生合成に必須であることがわかった.ベージュ脂肪細胞でMATIIを阻害薬FIDAS-5によって阻害すると細胞内クレアチンは有意に減少した.そして阻害によって細胞の酸素消費量が有意に減弱した.さらにUCP1をノックアウトしたベージュ脂肪細胞で同様に検証すると,やはり酸素消費
量が有意に減弱した.以上からMATIIはUCP1に依存しない,クレアチン依存性熱産生にも必須であることがわかった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] メチル基供与体合成酵素 MATII による脂肪組織熱産生機構の 解明2021

    • 著者名/発表者名
      佐川 純司, 長野 学, 江草 玄太郎, 大野 晴也, 小武家 和博, 一町 澄宜, 沖 健司, 米田 真康
    • 学会等名
      第41回日本肥満学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 選択的 PPARα モジュレーターによるベージュ脂肪細胞の identity 維持機構の解明2020

    • 著者名/発表者名
      江草 玄太郎, 長野 学, 大野 晴也, 佐川 純司, 一町 清澄, 小武家 一博, 沖 健司, 米田 真康
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] メチル基供与体合成酵素 MATII による脂肪組織熱産生機構の解明2020

    • 著者名/発表者名
      佐川 純司, 長野 学, 大野 晴也, 江草 玄太郎, 小武家 和博, 一町 澄宜, 沖 健司, 米田 真康
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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