本研究は、21水酸化酵素欠損症の患者において血中17ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)と早朝尿プレグナントリオール(PT)を直接比較し、どちらが臨床現場で実用性が高いのかを検証することを目的とした研究である。 前年度までに収集した25例の臨床情報、尿中プレグナントリオール(PT)、血中17ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)の測定値を用いて、以下の評価項目についてデータ解析を実施した。 【主要評価項目】早朝第一尿の尿中PTと早朝内服前の血中17-OHPの相関の有無 【副次的評価項目】早朝第一尿の尿中PTと内服2時間後・4時間後の血中17-OHPとの相関の有無、早朝第一尿の尿中PTと早朝内服前の血中17-OHP値の日差変動(最大変化率の比較)、血中17-OHPの測定法間(LC-MS/MS法、免疫学的測定法)の相関の有無 解析の結果、早朝第一尿PTと早朝内服前の血中17-OHPは有意な正相関を確認できた。早朝尿PTと内服後の17-OHPにも弱い相関を認めた。本研究の成果により、21水酸化酵素欠損症の患者の治療において早朝尿PTによるモニタリングの有用性を根拠づけることができた。本研究の成果は、国内・国外における学会で発表を行い、英語論文としてオープンアクセスジャーナルへ掲載された。
|