研究課題
若手研究
申請者の所属研究室は、質量分析を用いてヒト血漿中に存在する低分子量ペプチドを発見する「ヒト血漿ペプチドーム技術」の開発に成功した。既存のあらゆるペプチドデータベースに記録のない配列をもったペプチドを化学合成し、購入した培養細胞に添加して細胞内カルシウム濃度の上昇や遺伝子増殖などの細胞応答を模索したところ、キニノーゲン由来の2種類の新規ペプチドに強力な細胞内シグナル惹起作用を認め、さらに異なる新規ペプチド2種類にブラジキニンに対するアンタゴニスト作用を認めた。
内分泌学
ブラジキニン、あるいは生体内に存在するその類似物質の解明は、人体における疼痛や掻痒、時には生命に関わる急性アレルギー疾患などといった治療に難渋する疾患・病態の診断や治療に有益である。当大学が開発・改良した技術によって、「生理活性をもった新規キニノーゲン由来ペプチドがあり、それらが確実にヒト血中に存在している」ことがわかった。本研究の遂行が未解明の疾患・病態に一石を投じ、創薬を含めた新たな治療法開発につながるなどの波及効果が期待できる。