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2019 年度 実施状況報告書

血管内皮PDK1が全身の糖代謝及び膵β細胞に及ぼす病態生理学的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18016
研究機関川崎医科大学

研究代表者

小畑 淳史  川崎医科大学, 医学部, 助教 (10771298)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードPDK1 / インスリン抵抗性 / 骨格筋 / 膵β細胞 / 血管内皮
研究実績の概要

VEPDK1KOマウスは通常食12週齢負荷において腹腔内ブドウ糖負荷試験ではコントロールマウスと血糖値は同等であったが、インスリン値は低値であった。経口ブドウ糖負荷試験では耐糖能がKOマウスで有意に増悪していた。単離膵島を用いてグルコース応答性インスリン分泌を評価したところ、KOマウス由来の単離膵島でグルコース応答性インスリン分泌は低下しており、Ex-4を添加してもKOマウスで反応は減弱していた。また膵β細胞量は減少し、膵島内CD31陽性面積は減少していた。単離膵島のmRNA発現を見ると、インスリン及びその転写因子やインクレチン受容体等の膵β細胞機能に関わる重要な遺伝子はKOマウスで有意に低下していた。HIF1αやその下流遺伝子の動きからも現段階でKOマウスでは膵β細
胞におけるvasculatureの減少及び血流低下により、膵島において虚血が惹起され、ER stressを介して膵β細胞量、機能が低下していると考えられた。実際にMicrosphereを用いた膵島血流量の測定では、血流量はKOマウスで著明に低下しており、電子顕微鏡では血管内皮の構造の乱れを確認した。
また、我々は1型、2型糖尿病モデルマウスで血管内皮PDK1の発現が異なることを示した。実際に、ヒト大動脈血管内皮において、肥満に相関して血管内皮PDK1のmRNA発現が減少していることを明らかにした。また、高脂肪食20週負荷マウスの大動脈初代培養細胞でPDK1の発現が低下していることを見出した。肥満に関する因子、具体的には脂肪毒性や高インスリン、あるいは糖毒性などに着眼し、ヒト臍帯動脈内皮細胞あるいはマウス
大動脈初代培養細胞を用いて、パルミチン酸刺激、インスリン刺激、グルコース刺激によりPDK1の発現に変化がないか検討したところ、グルコース、パルミチン酸刺激によりPDK1のmRNA発現レベルが低下することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々はVEPDK1KOマウスを用いて、生理的条件下では、血管内皮PDK1は膵β細胞のvascularity、膵島血流を維持することで、膵β細胞量・機能に重要な役割を果たすことを解明し、海外論文にacceptされた。また、in vitroではあるが、グルコース刺激、パルミチン酸刺激がヒト臍帯動脈内皮細胞においてmRNAレベルで低下していることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

今後は血管内皮PDK1の発現がどのように制御されているかを中心に、インスリン刺激を含めた評価をmRNAだけでなく、タンパクレベルでも評価していく。特にどの組み合わせが血管内皮PDK1の発現に重要であるかをマウス初代血管内皮細胞またはヒト臍帯動脈内皮細胞を用いて解明していく。
さらにはストレプトゾトシンを用いた1型糖尿病を惹起したVEPDK1KOマウスでインスリン抵抗性が増悪するメカニズムについてrevise内容を踏まえて追加実験(大動脈血管内皮だけでなく、骨格筋血管内皮細胞の評価、及びmRNAレベルでの評価であったものをWestern blotで蛋白レベルでの評価を行う等)を平行して行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Vascular endothelial PDPK1 plays a pivotal role in the maintenance of pancreatic beta cell mass and function in adult male mice2019

    • 著者名/発表者名
      Obata A, Kimura T, Obata Y, Shimoda M, Kinoshita T, Kohara K, Okauchi S, Hirukawa H, Kamei S, Nakanishi S, Mune T, Kaku K, Kaneto H
    • 雑誌名

      Diabetologia

      巻: 62 ページ: 1225~1236

    • DOI

      10.1007/s00125-019-4878-1.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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