研究課題
我々は血管内皮特異的PDK1欠損マウス(VEPDK1KOマウス)を用いて、生理的条件においては、血管内皮PDK1は膵β細胞の血流やVascularityを保持するのに非常に有用であり、VEPDK1KOマウスの膵β細胞ではその血流の低下、Vascularityの低下から、膵β細胞において虚血が起こり、さらにはER stress、膵β細胞内の微小血管構造の乱れから膵β細胞量、機能が低下することを明らかにした。血管内皮PDK1が全身の糖代謝に及ぼす影響に関しては、まずヒトの大動脈内皮においてBMI25以上の患者群において25未満の患者群と比較して有意に血管内皮PDK1のmRNA発現量が低下していることを明らかにした。動物モデルでも高脂肪食20週負荷マウスから採取した初代大動脈血管内皮細胞においてPDK1が蛋白レベルで発現低下していることを明らかにした。これらの点から脂肪毒性に着目し、ヒト臍帯動脈血管内皮細胞においてパルミチン酸刺激を行ったところ、PDK1のmRNA発現は確かに減少したものの、蛋白レベルで評価すると逆にPDK1が増加しているという相反する結果が確認された。これにより、in vitroの評価ではmRNAのみならず蛋白及びそのリン酸化レベルでの評価も重要であることが明らかになった。一方で、ストレプトゾトシン(STZ)を用いた1型糖尿病モデルと、肥満2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスの初代大動脈血管内皮細胞を用いてPDK1の蛋白レベルを評価すると、1型糖尿病モデルではPDK1の蛋白量は増加しており、2型糖尿病モデルマウスではPDK1の蛋白量が低下していることを明らかにした。そこでSTZを用いてVEPDK1KOマウスに1型糖尿病を惹起すると、骨格筋においてインスリン抵抗性が惹起されることを明らかにし、現在論文化のためRevise対応を継続している。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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